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□カランコエ(一郎連載@)
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今日はお昼からイケブクロにお邪魔する。もはや家は寝に帰る場所になり、イケブクロが家か?と思う頻度でこっちに来てる気がする。
迷惑になってないかなと思う反面、やっぱり楽しい時間を過ごしたいと思い赴いてしまうのは自己中心的な考えだろうな。
一郎は依頼の合間に帰ってくるとのことで、お昼買っていくね。と連絡を入れて最近美味しいと噂のお惣菜屋さんで特製お弁当を購入して萬屋に向かった。


─65,幸せメモリアルと好き嫌い─


パシャパシャパシャ

「ぅえ!?姐ちゃん、今撮った?」
『うん、今日もタレ目が可愛いねぇじろー。』
「そんなの聞いてないよ!」
『まぁまぁそう言わず、はいピース』

スマホで連写していると、バレた。いや、隠すつもりはなく堂々と撮っているのでバレるも何もないのだが。
たじろぐ二郎に促せば照れながらもちゃんとピースしてくれるのだから天使である。ああああ、かわいいいいい!と空いた手で口元を押さえながら連写する。

『あああこの角度天才!天使!プリティー!そして垂れ目がいろっぺぇいろっぺぇ…』
「いろ…!?そんなんねぇし、姐ちゃんおっさんみてぇ」
『おっさんでもなんでもいい。』
「いいのかよっ!」

つーか連写しすぎ!と怒られる。仕方ないじゃないか、二郎が可愛すぎるのがいけない。その身長でも可愛いってどういうことなの。お肌つるつるだし本当に思春期か?ギルティ…その罪を私がかぶって断罪されたいぐらいだわ。

そのまま静かにカメラの向きを変えて矛先を三郎に移す。はぁー可愛い。さぶちゃんの可愛さ天井知らずだわ。とりあえずその可愛さを後世に残すためパシャり。パシャシャシャシャシャ
そりゃモチロン連写なのですぐバレるんだけど。
連写の音が響くと三郎の般若みたいな顔の写真がメモリーに焼き付いていく。あ、やばい。

「春姐。」
『は、はい…』

怒られると思い、そろりとカメラを下ろした所で三郎の罠が発動した。

「サービスショット」
『ああああああああシャッター間に合わなかったよぉぉぉぉぉぉ!もう一回!もう一回天使の微笑みお願いしますぅぅぅぅぅ!!!』

一瞬、最上級の愛想笑いでピースをする三郎のシャッターチャンスを逃して撃沈する。もう一度!ご慈悲を!と懇願する私をしたり顔で笑う三郎。その顔もありがとうございます、とシャッターを押しました。はい。

「何もない時の写真なんて撮ってなんになるのさ」
『24時間君たちの記録をしたいのさ』
「お巡りさん、この人ですー」
『ああっ!ひどい!本心なのにっ!』
「余計ダメ。」

呆れてくる三郎に 何気ない時間も大事だから残しておきたいんだよ。と伝えると 好きにすれば。と天の邪鬼な彼は頬を染めながら許可をくれた。しめたと言わんばかりシャッターを押していればやっぱり怒られた。

「流石に撮りすぎっ!1枚100円!」
『もう、そんなの朝飯前よ…』
「だからそこで財布出さないでってば!」

連写なので多額になるな。でもスイートプリティさぶちゃんがメモリーを埋めてくれるなら安いもんさ。
くりっくりの瞳と兄二人と比べるとふっくらと幼さを残した頬が可愛いんだよ、言葉通り食べちゃいたい。きっとあの有名洋菓子屋の"ペロちゃんのほっぺ"もビックリな柔らかさなはずである。残念だなペロちゃん、君の負けだ。
プリプリと怒ってる三郎のほっぺたを指先でつつくと怒ってるんだけど分かってる?と払われた。きゃっかわいっ!

『いちろ〜』
「ん?」
『はい、ちーず』

パシャリ。
弟たちとじゃれている間に帰って来た一郎が手を洗ってやってきたので声を掛けてシャッターを押す。
さすが、声をかけると何の恥ずかしげもなくニカリと笑ってピースしてくれた。
はぁ尊い。そのまま画面を押し続けおびただしい量の一郎が写真として生産されていく。
合間に一郎がふざけて変顔するもんだから絶対に世に出せない写真も納まっていき、私も思わず吹き出した。

『あは、ちょ、まってこの写真やばっ…あははは!』
「半目になっちまってんなぁ」
『これも、くくっ、ひどい…』
「おーおー、男前じゃねぇか!」
『はは、男前すぎる〜!』

イケメンがえげつない顔してる写真が映る画面を一郎も覗き込んで、挙げ句の果て男前発言に腹筋が崩壊する。一郎も我ながら、と笑っていた。
もちろん本当に男前な写真もあるんだけどその対比で変顔の破壊力よ。
携帯のメモリーも私の幸せメモリーもいっぱいである。



と、遊ぶのもそこそこに買ってきたお弁当を食卓に並べて囲む。色彩も美しく、栄養バランスも考えられているお弁当にわくわくと目を輝かせた。

いただきまーすと蓋を開けたお弁当。メインは同じものだがそれぞれ違った副菜が入っている。その内容をみて、あ。と思いそろりと弟たちのお弁当に箸をのばす。

『…(もぐもぐ)』
「おい、春、何食ってんだ?」
『……(もぐもぐ)』

三郎のところからはセロリの和え物、二郎のところからはご飯の上の梅干しを回収していた。私がこっそり食べていたのに、一郎が目敏く気づいてしまう。

「こら、またこいつらの苦手なもん食ってんな。」
『???』

もぐもぐと口を動かしながら顔を横に振ったらまたこら、と怒られて小突かれる。
むむ、と私の煮物にまじってた椎茸をつまんで一郎の弁当にのっける。

「、お前なぁ…」
『あはは、うそうそ。私椎茸好きだからあげなーい。』

ふたたび椎茸をつまんで取り返し、口に放り込む。
流石にその後は苦手なものを食べてもらった弟たちへの一郎の説教は回避でき、みんなで美味しくお弁当を平らげたのだった。






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