dream

□愛
1ページ/4ページ


昼に真島さんとご飯を食べに出掛ける事になった。

黒塗りのピカピカの車で、真島さんと一緒に後部座席に座っている。

「浅海は何か食べたいモンは無いんか?」

「いえ、何も考えて居ませんでした。」

「よっしゃ!ほならワシのセレクトでえぇな?」

「はい!」

浅海は、何を食べられるのか楽しみにしていた。

「着いたでぇ〜!」

え!?

こんな所で食べるの??

そこは高いが美味しいと有名なレストランだった。

「なんや?浅海どないした?そないに固まって」

口をあんぐりと開けたまま、間抜けな顔をしていた。

「御予約されていた方ですね?
ようこそいらっしゃいました。
どうぞゆっくりして下さい。」

ウェイターが丁寧にそう言うと、
店内を見渡したが、誰も居ない。

「急遽貸し切りにしたんや、この方が浅海も緊張する必要無いやろ?」

「は、はい。でもこの御店凄く高いって有名な所じゃないですか!」

「そないなこと気にせんで、楽しく食べようや?」

「いや、余計に緊張してます。私。」

それを聞いたのか、聞かなかったか分からないが、真島さんは席に座った。

「突っ立ってないで、浅海もはよ座りや!」

頑張ろう!でも、開いたメニュー表には値段が書いていない。。。

これは、、、ヤバい店だ。
時価ってヤツだ!自分では絶対に来られない様な所に、真島さんは連れて来てくれたんだ。

「あのー、、、真島さん何が何だか分からなくなってます私。」

周りにも沢山テーブルがあるのに、誰も居ないのは落ち着かない。

「ならワシのお勧めでえぇか?」

思考回路がゴチャゴチャになっている私には言える言葉がこれしか無かった。

「はい、お願い出来ますか?」

それに対して、

「よっしゃ!食欲が無い訳じゃ無いんやな?心配したで!」

安心したように笑いながらそう言った。

注文が終わると、出来るまでの間、話しを始めてくれた。

「浅海はどんな仕事やったかのう?」

絶対に知ってる筈なのに訊かれたら応えるしかない。

「仕事は法律関係の仕事をしています。」

「ほぉ〜したら、頭ええんやな!」

「いえ、やっぱり難しいですよ。仕事しながら再確認してる感じですね。」

改正法などもあるので、大変な勉強量なのだ。

「なら、職業的に正反対なのが、此処に座っとるんやな。」

「そうですか?結構関わりはあるんじゃないですかね?」

「それは悪い意味で言うとるやろ?」

「はい、まぁ。」

「そんなんと違う!二人の恋人同士として此処におるんや!!」

「確かにそうですね!」

恋人同士って言ってくれる真島さんの気持ちが、とても優しくて、

その想いがとても嬉しくて、その会話で少し緊張は楽になった。

そしてコースメニューの一品目が来た。

前菜を頂きながら、私は感動した。

前菜を食べ終わり、少し興奮気味に、

「前菜でこんなに美味しいなんてビックリしてます!」

「んー?まだまだ来るでー!」

続けて食べ続ける。

コースメニューを全部食べ切った。

「これは美味し過ぎでした!」

「喜んで貰えて安心したわー!最初あないに緊張しとったから、味も分からないとか言われるかと、ちょっと心配やったからのぅ。」

そして、店を出ようとレジへ、

現金ですごい数の諭吉さんを束で置いて、

「釣りは要らんで!ごっそさん!」

目を真ん丸にしながら私は見ていた。

少し払うつもりだったのが、あれは私には払えない。。。

と言うより、真島さんはどんな金銭感覚なんだろうと不思議に思った。

「浅海が喜んでくれたのが一番のご馳走やったわ!」

満足そうにそう言った。
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ