忍たま夢
□昆奈門、変態だもん
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帰り道。他愛ない会話をして小屋に戻っている最中、わたしは突然、我慢できない尿意に襲われた。
小屋までまだ時間がかかる。なのに、どうしてこのタイミングで……。
己の尿意を憎んでも、それは消えてくれるほど甘いものではなかった。
「あの、雑渡さん……」
「なに?」
「わたしを背負ってはくれませんか」
雑渡さんは忍者だし、わたしを背負って帰ってくれれば普通に歩くより早く帰ることができる――我ながらいいアイデアだと思う。
雑渡さんもわたしの言葉に心配そうな顔をした。
「どうしたの、足、痛い? 虫にでも刺された?」
「あ、はい、そうなんです……。それで、申し訳ないんですけど、わたしを早く小屋に……」
「ふーん。さっきからもじもじしながら歩いていたと思えば」
ぐっ!
雑渡さんの手がいきなりわたしの腹部を押してきた。
その圧迫は、今のわたしにとってはとても危険な刺激だった……! そんなことをされては漏れてしまう!
「ざ、雑渡……さん……!」
数歩後ろに下がり、彼から距離を置く。何をされるかわかったものではない。
雑渡さんは、わたしに睨みつけられても知らん顔で、とんでもないことを言う。
「本当は、おしっこ我慢してるんでしょう? 誰も見てないからここでしちゃえば?」
「な、な、な! なんてことを!」
「私と紫杏の仲じゃない。ね?」
「ね? じゃないです、って、きゃっ!」
あろうことか、雑渡さんはわたしの着物を捲り、下着もずらして秘部を丸見えにしてきた! 空気が当たり、すーすーする……。
いくらなんでもこんな羞恥、耐えられない! 酷すぎる! 必死で抵抗してもプロの忍びには敵わず、すぐに両手を片手で掴まれてしまった。
空いている手で、彼は腹部を刺激してくる。強く押してみたり、優しく押してみたり。その強弱が絶妙なもので、もう我慢の限界だったわたしは、とうとう……出してしまった。
「うそ……うそ……」
我慢していただけに、とても気持ちのいいものだった。だけど、こんなところを大好きな人に見られたなんて。恥ずかしいやら悲しいやら、わけがわからず、涙が溢れてきた。
「紫杏、泣かないで」
雑渡さんから両手を解放されたわたしは、力なく地面に座りこむ。
雑渡さんも屈んでくれて、あたしの涙を拭ってくれた。嬉しいけど、誰のせいだ。
「いいもの見せてもらっちゃ……た、じゃないや、ううん、スッキリしたならそれでよかった。こっちも拭こうね」
こっちとは……。
包帯が巻かれた雑渡さんの右腕が、わたしの股の下で見えた。この人まさか、包帯でわたしの股を拭こうとしているのか。腕に巻いたまま、で。
「いやぁぁぁぁ汚い! ばい菌! ばい菌、つきますよ、雑渡さんに!」
「平気、平気。濡れた包帯も大事にするから」
「捨てて、捨てて! わたしもう濡れたままでいいですから!」
「遠慮しないでってば」
「いやーーーーー!」
散歩に行くときは、もしもの尿意のことも考えて短時間で終わらせようと決めた瞬間だった。