小説
□君と僕の3日間
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「アイドルが職業体験?」
休憩時間、幼馴染だが先輩保育士である大ちゃんに聞かされた話。
それは有名アイドルが、テレビ番組の企画でこの保育園に3日間職業体験しに来るというものだった。
「そう、ウチに依頼来たんだってよ。んでお前が担当だと」
「へー……って何でだよ!」
「そりゃアイドルさんが体験するのに丁度いい5歳児のクラスを持ってるのがお前だったからだろ」
大ちゃんはおかしそうにけらけら笑う。
いや笑い事じゃねぇよ。
そんな大役をまだこの保育園では若手の俺が何故やらなきゃいけないのか……。
確かに大ちゃんやベテランの先生が持っている年少のクラスは職業体験向きでは無いだろう。だからと言って……。
「ま、後で園長から説明あるだろ。頑張れよ〜」とか適当な事言って去っていく。
園長によれば、大体俺の想像通りだった。
そのアイドルに仕事内容を説明しながら出来そうな所を手伝って貰う。
そしてアイドルさんと園児の触れ合いのサポート。
それを撮られる訳だ。
番組的にそれで撮れ高大丈夫なのかと思ったが、番組の中の1コーナーらしいので大丈夫だろう。
まぁ俺の知った事では無いが。
俺はキリキリ痛む胃を抑えながら溜め息をついた。