小説

□喧嘩と仲直り
1ページ/1ページ

「自分でコーディネートしといて、晒し者にしてんのかよ!最低だな!っとに!」

信じらんない。僕がどんな気持ちで涼介にコーディネートされた服を着てたと思ってるんだよ。

「こうやって晒すためにさぁ!やったのかよ!」

最低。そんな"やっちまった"みたいな顔しても許さないし。


収録後楽屋に戻る時、涼介が何か話しかけてきたけど無視して圭人と楽屋に戻った。
こういう日はさっさと帰って寝るに限る。
そそくさと帰り支度をして挨拶もそこそこに楽屋を出ていく。

「待って知念!」

涼介の声が聞こえ、僕は歩調を早める。

「知念ってば!」

寧ろ走り出す。

「おい!」

反抗も虚しくすぐ捕まってしまい手首を掴まれた。

「……何」
「…怒ってる?」
「…」
「ごめんって、許して?」
「…」
「ねぇちぃちゃ〜ん♡」
「うるっさい」

こいつ反省してない。
僕は涼介の腕を振りほどいてスタスタ歩き出した。

「ちょちょちょ待ってまじでごめんって!無視しないで!嫌わないで!ね?」
「恋人を晒し者にする奴は嫌い」
「違うんだって!……ちょっと、俺がコーディネートした服を素直に着てる俺のちぃちゃんが可愛くて自慢したくなったんだって」
「涼介はすぐ調子乗るから嫌い」
「ごめんってば」

涼介が後ろから抱き締めてくる。

「俺ちぃちゃんに嫌われたら死んじゃう」
「あっそ」
「酷い!」

「俺はこんなに愛してるのに…」とか言いながら更に強く抱き締め擦り寄ってくる。

涼介の腕に包まれてる温もりや安心感と涼介の匂いに満たされ、段々と怒っているのが馬鹿馬鹿しくなってきた。

……はぁ。そろそろ許してあげても良いか。

「……反省した?」
「した」
「……もうしない?」
「しない」

僕は涼介の腕の中で身体を捩って回転させ向かい合ってぎゅっと涼介に抱き着く。

「……ごめんねのちゅーは」
「ん♡」

涼介は嬉しそうに僕の唇に触れるだけのキスをした。

「涼介のせいで疲れた。もう帰る」
「俺ん家泊まってけば?」
「もっと疲れさせられるから嫌」

後ろで「ぇぇぇ無理我慢出来ないまじで勘弁」とかうるさい涼介をほっといて歩き出す。

……すぐ許しちゃう僕も涼介に甘いのかも。

次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ