小説

□君に恋ふ
1ページ/2ページ

「先生、テスト範囲の歴史教えてください」
「俺は国語教師なんですけど知念くん」
「僕国語は90点取れますもん」
「じゃあ歴史の先生の所行きなさいよ」

「えーやだ、山田先生が良い」とか言って俺の腕にぎゅっと巻きついてくる。

近ぇよ。

「俺は国語しか教えれませーん」
「じゃあ古典教えてください」
「90点取れるんだろ?」
「意地悪」

そう言うと頬を膨らませて俺を見上げる。
可愛い顔しやがって。

「わかったわかった、明日な」
「やったー、先生大好き♡」
「はいはい。気を付けて帰れよ」

「はぁ〜い」と手を振りながらパタパタと帰って行った。

俺が担任をしていて国語も受け持っているクラスの生徒、知念侑李。高校3年生男子とは思えない程華奢で可愛い。
最初は真面目で目立たない生徒だったが、ある時からああやって俺に懐くようになっていた。
……俺は新人の若造だし、お兄ちゃんか何かとでも思っているのだろうか。

次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ