小説
□小さな約束
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『ちねん。おれのお嫁さんになって』
『いいよ、りょーすけのお嫁さんになったげる』
嬉しそうにくふふと笑った彼の手を引いて窓際へ連れていく。
レースのカーテンを花嫁さんのベールみたいに頭にかけてやり片膝をついて、折り紙で作った不格好な指輪を彼の小さな左手の薬指にはめてやる。
『これで今日からちねんはおれのお嫁さん』
俯いてレースの端っこを弄りながら指輪を眺めていた彼が顔を上げる。
『これでなれたの?』
『うん。けっこんしきをしたらなれるって、お母さんが言ってた』
俺は立ち上がって彼の可愛い頬にキスをした。
『大好きだよ、ちねん』
『ぼくもりょーすけ大好き』