novel

□ほろほろ
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ぱち、と目を覚まし、真っ暗なことを知って飛び起きる。ベッド横にある時計を確認すると夜の6時半。まだ夜中ではないようだ。辺りを見回すと脱いだ服がそのまま。
自分は裸で、掛け布団が掛けられている。小さな寝息が聞こえて、寝ぼけ頭で隣をみやると布団がはだけて上がまる見えになった樺地。
そこでようやく自分達がなにをしてたか思い出す。

覚めた頭で異性の裸を見てしまい、恥ずかしくて顔が熱くなって急いでかけ直した。慌ただしい俺の動作で起こしてしまったのか、樺地が体をよじる。

「お、おはよう…」「う、す?」
ぽうっとした顔で俺を見つけると目をぱちぱちさせ、起きようとして顔が少し歪む。
出血していたので傷が痛むのだろう。その痛みで目が覚めたらしく、恥ずかしそうに腕で体を隠した。

「あ、ご、ごめん!」「う、す」
「痛み、どう?結構血出てたから…」「う…すこ、し」「そっか…」
「でも…血は、止まったみたい」
そう言い、はっとした顔をして布団のなかを確認する。
「あの…ごめん、なさい…シーツ、洗ってくる」
どうやら血の染みを確認したらしくて、俺は慌てて止める。
「あ、大丈夫!俺が後で洗うから」「でも…」
「こっそり洗っちゃえば分かんないって」なんとか説得し、とりあえず寒いから服を着ようと電気をつける。お互い裸なのを忘れてて、急いで背を向けた。
下着を拾って掃こうとしたとき、部屋のドアががちゃり…開いた。

「長太郎、帰っているのか すまない、邪魔をした」
咄嗟のことなのでこちらも何が起こったがわからず、一時停止してしまい、声が出たのは扉が閉まってからだった。
「と、父さん!」隣では顔を真っ赤にして縮こまり始めてる樺地がいる。おれも同じ感じなんだろう、穴に入りたくなってきた。
「もう、服着ようか」「…うす」
魂が抜けていく前に、なんとか普段着に着替えることができた。
「ごめん…父さんが早く帰るの忘れてて…」「…だいじょうぶ」
なんだか自分達以外の人が家にいるって考えると、居たたまれなくなる。
俺はそのなかでどう後で父さんに弁明しようか考えていた。
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