短編 夢 1

□貴方の温もり
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!!?

ガバッ!

ハァハァ……

――……また、夢……


流星街にある本拠地で自分の部屋で寝ていたユーキは怖い夢を見て飛び起きる。
普段はフェイタンの部屋で一緒に寝ているが、フェイタンがフィンクスやシャルナークとゲームしていたり、飲みに行ったりする時はユーキは邪魔したくなくて自分の部屋で寝ていた。
フェイタンは邪魔なんて1ミリも思っていないのに。
それどころかユーキも一緒に来るか?と毎回聞いてくれるがユーキは、いつも断って自分の部屋で寝る。


――……、フェイタン……
夢の内容は、覚えていない。
けれど、怖くて、悲しくて、辛くて。
ユーキの頬には一雫の涙が伝う。
ユーキはそっと自分の部屋を出て行く。
向かう所は勿論フェイタンの部屋。

――……フェイタン、寝てる…よね……。

フェイタンが寝ていたら迷惑をかけるんじゃないか、とユーキは不安になり扉にコツンと額を付けている。
すると

キィ……

と静かに扉が開き、ユーキは驚いて目を見開く。
扉を開けたのは勿論フェイタンだ。

「ユーキ、また夢見たか?」
…………
ユーキは何も言わずコクリと頷く。
「だから一緒においで、言たのに。」
そう言ったフェイタンだが、その表情は優しく、ユーキの手を引いてベッドに入る。

フェイタンはユーキを抱き締め、優しく頭を撫でる。
ユーキは夢の内容も忘れて、安心した様に瞳を閉じる。


スー…スー…

気付けばユーキの寝息が聞こえ、フェイタンはその安心しきった顔を見て微笑み、ユーキの額に優しくキスをする。

――ユーキ、ずと傍に居るよ。だから、怖くないね。

フェイタンは、そう心の中で思い、ユーキを抱き締めたまま眠りにつく。



貴方の温もりを求めて……

Fin


 

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