夢物語 長編

□蒼天の舞姫 14
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アスタ達、黒の暴牛が恵外界のソッシ村で対峙した謎のテロリスト集団。
村人に聞いた証言である疑いが生まれつつあった。

「…魔法騎士団の者が来るとは"聞いてません"…か。」

「はい、何人かの村人がその様に聞いたと……また、"申請外の任務"とも。」

「魔法騎士団の任務の申請など、当然極秘です…それを知っているとなると━━魔法騎士団の中に内通者の可能性があるということですかっ?」

「…憶測でものを言うのはいけないよ、マルクス君。しかし、そうは言っていられない状況だね。」

ユリウスは執務室の椅子から立ち上がり、窓辺の近くに立つとクローバー王国を眺める。

「この国に侵略軍とは別の驚異が迫ってきている。━だが、悪戯に話が広がると国民に混乱が生じるだろう。この話しはここだけに留めておいてくれるかな。」

「わかりました。」
「はい。」

ルクルとマルクスは退室しようとしたが、その時ユリウスはルクルに頼み事をする。

「あぁ、ルクル君!後でコーヒーお願い出来るかな?」

「…かしこまりました。」



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ルクルはユリウスのコーヒーを机に置くと、今だ窓の外を向く背に声をかける。

「ユリウス様、何か御用ですか?」

「っ!……全く、ルクル君には叶わないな。コーヒーだけだったかも知れないのに。」

「マスターの意図を汲むくらい出来ませんと、オトメは務まりませんので。」

ルクルが自信満々に答えると、ユリウスは苦笑しながら椅子に座るとコーヒーを一口啜る。

「………"目的の代物"ってのが気になってね。すまないが、明日から秘密裏に調べて貰えるかな。無理はせずに、何か分かったら直ぐに僕に知らせてれ。」

「かしこまりました。」

「あと…………。」

「…?」

「…もう一杯頼めるかな?」

ルクルはユリウスに苦笑しながら口を開く。

「…魔法瓶に入れてこちらにおきましょうか?」

「おっいいね〜!」

このお茶目加減が憎めないなぁっとクスクス笑いながらルクルはコーヒーを用意するのだった。



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今日は明日に備えて上がっていいと言われたので、ルクルは本部の回廊を歩き街に行こうとしていた。
すると、前方に紅いローブを着た後ろ姿が見えたので声をかける。

「━フエゴレオンさん。」

「っ!ルクルか…。」

「はい、本部に御用でしたか?」
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