夢物語 長編

□蒼天の舞姫 15
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ルクルはあれから2週間近くテロリストの"目的の代物"と言うものを探るべく動いていた。
ソッシ村より辺りを探索している内に、森の中で1人白いローブを纏った人物を見つけ、古い廃墟と化した建物にたどり着く。

(…周辺の住人に聞く限りここ最近見かけるようになり、あの白いローブもアスタ君達の報告と一致………これはビンゴですね。)

これ以上の詮索は中の気配が無くなってからではないと無理と判断し、一旦ユリウスにGEMで連絡を試みる。



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《…ユリウス様、聞こえますか?》

(っ!やぁ、ルクル君かい。久しぶりの連絡だね、どうしたんだい?)

ユリウスは戦功叙勲式を終え、立食パーティーの会場にアスタ達を案内した所だった。

《…テロリストのアジトの一部と思われる場所を見つけ出しました。敵はまだ中にいるらしく、引いてから詮索を行おうと思います。その前にユリウス様にご報告を。》

(っ!?いやいや、サラッと凄いこと行ってるけど、待とうねっ!?僕もすぐそちらに行くよっ!)

《…ですが。》

(大丈夫っ!座標を此方に伝えておいて。)

《かしこまりました……。》

ユリウスはルクルとの通信を終えると皆に向き直り、退室の旨を伝え足早にその場を後にした。



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連絡を取ってから1時間後━━例の場所にユリウスが表れ、ルクルは声をかける。

「…ユリウス様、マルクスにはちゃんと言ってきましたか?」

「うん、ちゃんと出掛けてくるって言ってるよ…状況はどうだい?」

「先程最後の1人が出ていった様です。探るなら今かと。」

「なら、行こうか。」

ユリウスとルクルは慎重に中に進んでいくと、古い遺物を見つける。

「…これは、石板ですか?」

「あぁ、そうだね。しかも、かなり古いものだ……このはめ込んでいる物は一体…?」

ルクルもユリウスにならい、石板にはめ込まれているものを見つめ考え込む。

(宝石…でしょうか?幾つかまだ空いている……それにこれと似たような物を何処かで見たような━━。)

とりあえず、これを運び出すためルクル達は本部に連絡を入れようとする。
だが、ノイズ音ばかり響き本部との連絡が取れず不信に思う。

「っ!ユリウス様まさかっ!?」

「あぁ、迂闊だった。恐らく王都が襲撃されている可能性が高い。まさか、僕が王都を離れているこのタイミングでっ。」

(どうする…魔法騎士団達が王都に居るとはいえ、通信妨害を受けていることは指揮系統が麻痺し後手に回っている筈だ………っ)

ユリウスは一度目を閉じると━━ルクルを見る。
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