夢物語 長編
□蒼天の舞姫 14
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「あぁ。休日だったんだが、気になる案件があってな…少し出てきたのだ。」
「そうでしたか、休日までお疲れ様です。」
「……………っ…………。」
「……フエゴレオンさん?」
フエゴレオンの案件は別に急ぎでは無かったのだが、家に居ても以前のルクルとノゼルの事が頭を過り落ち着かず、もしかしら本部に行けばルクルに会えるかも知れないという下心もあり来たのだ。
まさか、本当に会えるとは思ってなかったので言葉に詰まるフエゴレオンだった。
そんな様子を不思議そうに見つめていたが、あることを思いつきフエゴレオンに提案する。
「フエゴレオンさん、この後予定はございますか?」
「いや、無いが…。」
ルクルは少しいたずらっ子な顔をしながら、フエゴレオンに告げる。
「では…━━私とデートしませんか?」
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「…すみません、フエゴレオンさん。まさかあんなに驚かれるとは。」
「いや、こちらもすまない…。」
ルクルの言葉に驚いたフエゴレオンは少しの間固まってしまい、言葉が理解出来た瞬間女性が簡単にデートなど誘うものではないっとルクルに注意してしまったのだ。
その時の声は情けないほどに狼狽えていたと記しておこう。
(それに…会議用の飲み物で、俺の好みの物を知りたいと言ってくれているに、俺としたことがっ………。)
1人悶々と考えていると、目当てのお店に着いたのかルクルが扉を鳴らしてフエゴレオンの入店を促す。
店の中に入るとコーヒー豆の薫りが際立つ。
「いらっしゃいっ!」
「ご無沙汰しております、マーヤさん。コーヒー豆のテイスティングをしたいのですが。」
「ルクルさんっ!お久しぶりです!豆のテイスティングですね。席に座ってお待ち下さいっ!」
「ありがとうございます。」
端の方のテーブル席に座ると、フエゴレオンは店の中を見渡した。すると、隣の店に繋がっている空間を見つけルクルに尋ねてみる。
「ルクル…あちらは別の店では無いのか?」
「あぁ、あちらですか?あちらのお店はマーヤさんのお兄様がされてる紅茶のお店なんです。会議用の紅茶もあちらで買うんですよ。」
(……紅茶。)
フエゴレオンはいつルクルがノゼルの好みを知ったのか気になり、くよくよ悩むより直接聞いてみることにした。