夢物語 長編

□蒼天の舞姫 2
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その日、現魔法帝ユリウス・ノヴァクロノはいつもの変身ぶらり旅と称し、あることを行うため恵外界の外れへと来ていた。

無事用事も終わり、明日からの仕事…+マルクス君からの小言を考えると少し憂鬱になるが、今日は一段と星空が輝いていることに気付き、気分は少し晴れやかになった。

「……これはまたすごい星空だな。星に手が届いてしまいそうだ」

(自分で言っておきながら少しメルヘンチックだっただろうか、いやいやっ、僕だってまだ気持ちは若いさっ!たぶん………。)

そんな下らないことを考えながらそろそろ王都に帰ろうとすると、ふと、魔(マナ)を感じた。それはとても微弱であるが、今まで感じたことのない不思議な魔だ。

いつもの好奇心のクセで、その魔を探ろうとするとそれは突然―――来た。

「━なっ!?━━━星っ!??」

そう、あろうことか突然星が落ちたのである。いや、この場合流れ星が落ちたといえば正しいのだろうか。
直接は落ちては来なかったが、近くの森に落ちたのが目で確認できた。

生まれてこの方、流れ星が落ちたなんて体験はしていなかったユリウスの好奇心は最高潮になり、急いでその森に向かった。



━━━━━



近くに行くにつれ先ほど感じた魔を感じ、警戒しながら…だが高揚した気分が抑えきれない足取りでユリウスは近づいて行った。

ちょうど落ちた所だろう、ぼんやりとだけどどこか暖かさも感じる光を目指していたが、ユリウスは疑問に思う。

(……さてはて、流れ星は地上に落ちてからでも光るものだろうか?先ほどの魔も一緒の所から感じる………これは色んな意味でワクワクさせてくれるね。)


そんな事を考えながら森を進んで行き、ついに星が落ちたクレーターにたどり着いたユリウスは目を見張った。

暖かさも感じるその光の正体…目の前の女性から生えている翼なのだ。もう一度言う、翼だ。

「…まさか、天使に遭遇するとは思わなかったよ」

そう呟きながらユリウスはその女性に近づいて行き、気を失っている女性に声をかけようと手を伸ばそうとすると…

「━っ!」

女性の背中から生えている翼が多くの小さな羽になり、風に煽られ空に舞っていく。
そのとても幻想的な光景にユリウスは思わず周りの警戒など忘れ、見いってしまった。

その羽が段々無くなっていくと下から呻き声が聞こえ、ユリウスは慌てて下の女性に顔を向ける。
女性の目が少しずつ開き目線が合うと、本当に小さな声で呟いた。

『……………へ…………ぃか…………』

そう言うと女性は再び気を失ってしまい、辺りは月と星の光だけとなった。
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