夢物語 長編

□蒼天の舞姫 3
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……………ル……ル

(……だれ?)



……………ルク……

(…誰なの?)



…………………ルクルッ!!




━━━━━━━




目を開けると高い天井が見えた。
しばらく呆然としていたら、目の前に眼鏡をかけた男性が1人視界に入る。

「気がついたかい?」

「……は、い……、ぇ…えっ?……ここは…?」

「ここは魔法騎士団本部の医療棟だよ。森で気を失ってた君を魔法帝がここまで運んだんだ。気分はどうだい?」

「…………大丈夫です。助けて頂きありがとうございます。」

「気がついてそうそう悪いけど、魔法帝が君に聞きたいことがあるみたいなんだ。来てもらってもいいかい?」

「…はい。私も助けて頂いた方にお礼を申し上げたいです。」

「わかった。ちょっと待っててくれるかい、呼んでくるから。」

そういうと眼鏡の男性、オーヴェンは扉を開けて魔法帝を呼びにいった。
その扉が閉まると女性━ルクルはゆっくりと起き上がり、右手を頭にあてて考える。

(…ここ何処なのでしょう?ヴィントでも他の国でもない。それに…魔法?騎士団に魔法…帝?魔法ってあの魔法なのでしょうか?おとぎ話でしか聞いたことありませんが………)

どれぐらい考え込んでいたのだろうか、扉をノックする音にハッと思考の深みから抜け出し、慌てて返事をする。

「っ!!…はい、どうぞ。」

「失礼するよ。」

扉が開き、オーヴェンが入ってくる。その次に男性が2人入ってくるが、その1人を見た瞬間ルクルは目を見張った。

「陛下ッ!どうしてッ!?」

目が合ったユリウスは一瞬驚き、すぐにこやかな顔になりルクルに声をかける。

「この前もそう言っていたね。残念だけど、僕は陛下じゃないんだ。魔法帝のユリウス・ノヴァクロノだよ、よろしくね。…君の名前を教えてもらってもいいかな?」

ルクルはユリウスの言葉を聞き、少しずつ冷静になり目を閉じて深呼吸をした。

(バカね…陛下は私の前で亡くなられましたのよ。それに声はすごく似てるけど、お顔の感じが少し違うわ。)

ルクルは落ち着きを取り戻し、姿勢を整えユリウス達の方に向き直った。

「取り乱してしまい申し訳ありません。私の知り合いにとても良く似ていたもので。それとそちらの方に…ユリウス様に助けて頂いたとお伺いしました。誠にありがとうございます。私、ヴィントブルーム王国のマイスターオトメ、ルクル・ベルベットと申します。そちらのお二方のお名前も教えていただいてもよろしいでしょうか?」
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