夢物語 長編
□蒼天の舞姫 6
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団長会議より1週間たった頃、ルクルは魔法騎士団本部からの伝達を伝えるため碧の野薔薇団へと向かっていた。
(碧の野薔薇団………男性団員は極端に少なく、ほぼ女性団員で構成されている女の園。まるでガルベローベみたいな所ね。懐かしいわ。)
団のアジトに着くとちょうど目の前を団のマントを羽織った女性が通ったので、団長の場所を訪ねることにした。
「すみません、魔法騎士団本部からの伝達に来ました。シャーロット団長はおられますか?」
「団長ですか?団長でしたら今中庭の方にいらっしゃると思います。そこまで、ご案内します!」
「ありがとうございます。お願い致します。」
案内をしてくれるというのに甘え、ルクルは女性の後ろにつき中庭に向かっていった。
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中庭の中間辺りに行くと、1人の女性が見えてきた。
「シャーロット団長!本部の方がお見栄になりました。」
「っ!!…貴方はルクル殿。」
それでは私はこれで。っと団員の方が中庭から離れていき、ルクルは改めてシャーロットに向き直った。
「お久しぶりでございます、シャーロット様。」
「…あぁ、久しいですね。…ご用件は?」
「ユリウス様より、こちらの書類をシャーロット様に渡して欲しいと言われました。急ぎではないので、出来しだいまた本部にとのことです。」
「わかった。…わざわざ団の方まですまない。」
「いえ、これくらい何てことありません。では、私はこれで失礼します。」
ルクルはシャーロットに一礼してその場を後にしようとすると、シャーロットに呼び止められた。
「何か??」
「あっ…その、…だな。…………ルクル殿、その…………お茶というのは、手に入れるのは難しいのか?」
「お茶…ですか?そうですね、クローバー王国ではそもそも無い飲み物ですけど、似たような茶葉があるのでそちらを代用出来ますが。今度お飲みになりますか?」
「いやっ…私は良いのだが、そのっ………」
ルクルは目の前で言葉を詰まらせながらお茶のことを聞いてくるシャーロットの姿を見て、ピンっとくるものがあった。
(もしかして、シャーロット様。何方かに贈り物をしたいのかしら?でも、クローバー王国の方々には渋味が強すぎてあまり好まれない味ですが……っ!)
そこまで考えて、この国でお茶を好んで飲む人なんて1人しかいない。
「…ヤミ様………ですか?」
「ッッ!?」