夢物語 長編
□蒼天の舞姫 7
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ある昼下がりの午後、ルクルは書類整理をすべく書庫で仕事をしていた。
このまま何事もなければ、定時に上がれる。丁度買い足さなければならないものがあったので、買い物して帰ろうと考えていたが、そこに申し訳なさそうな顔をしたマルクスが近付いて来たので、その計画はついえた。
「すいません、ルクルさん。急になんですが………翠緑の蟷螂団に行ってきてもらってもよろしいですか?」
「はい、大丈夫です。何か伝達ですか?」
「いえ、そうではなく…」
マルクスらしくなく歯切れが悪い。不思議に思いつつルクルは尋ねた。
「では、どのようなご用件で…?」
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(提出日を過ぎた書類を私が来ないと提出しないなんて思ってもみませんでしたわ……まさか、あの様な風貌と体格で甘えたがり屋さんだったりするのでしょうか?クローバー王国男性に通ずる常識だったりとかなので…?)
ルクルは案内をしてくれる団員の後ろに着いていきながら、そんなこと考えていた━━ある意味大変失礼である。
団長室に着き案内してくれた団員にお礼を言い、ルクルは扉をノックした。
「失礼します。魔法騎士本部のルクル・ベルベットです。」
「……あぁ、入れ。」
返答がありルクルは扉を開けて入ると、━━━━裂断魔法が襲い掛かってきた。
ガキィンンンンンッッ!!
「………どういうっおつもりですかっ、ジャック様っ?」
「クッククク………まさか、この俺のデスサイズを防ぐとはなァ?」
「お戯れでっ室内で魔法をっ使わないで下さいっ。私が防げなかったらどうするっつもりだったのですかっ。」
「…あぁ?魔法帝にあんだけズケズケ言ってたお前がそんなタマかよっ。」
ルクルは護身用の短剣に魔を纏わせるとジャックの刃を防いだが、やはりそこは体格の差。ルクルがどんどん後ろに下がっていってしまい、遂には扉に背中が当たる。
「さぁ、もう後がないぜっ?どうするっ?」
「………っ……お戯れがっ過ぎますと、お仕置きしてっ…しまいわすよっ!!」
「━ッッ!?」
《万象拘束魔法 真綿の呪縛》
ルクルはあまりに無礼な態度のジャックに我慢できず、魔法を発動した。
最近ではユリウスをも5回に1回は拘束仕切るので、暴れん坊のジャックには丁度いい。
「ケッケッケッケッ、……この俺を拘束仕切るとは大したもんだなァ。」
「…提出書類はこれですね、貰っていきます。」
ルクルは机の書類を素早く回収すると、扉の前で拘束されているジャックに近付くと…。
━━━むにっ
「…………………ほいっ、なにフンだっ」(おいっ、何すんだっ)
「何ってお仕置きです。次からは必ず提出期限守ってくださいね。」