夢物語 長編

□蒼天の舞姫 8
1ページ/3ページ




「まさかあんなにも忠告したのに、早速抜け出されるとわ……。」

ルクルはため息を吐きながらユリウスの反応をGEMでたどり、城下町へと来ていた。



━━━━━━━━━



1時間前━。

書類整理が終わり、後はユリウスのサインだけ必要なので、ルクルは執務室へと向かっていた。

━コンコンッ

「ユリウス様、ルクルです。書類追加分お持ちしました。…………………………ユリウス様?」

返事が無いので嫌な予感を感じながら扉を開けると、中はもぬけの殻だった。
するとタイミングが悪いことにマルクスも来てしまい、ユリウスがいないと分かるとまな尻を吊り上げる。

「あの人はっ!毎回毎回ぶらりとしてッッ!!」

「マ、マルクス、落ち着いて下さい。私仕事に目処がついてますので、……探してきます。」

このままマルクスが爆発してしまうと、こちらにも被害が及ぶ。
触らぬ神に祟りなし━━まぁ、探すと言いつつ逃げてきたルクルであった。



━━━━━━━━━



GEMをたどり着いた場所は、闇市(ブラックマーケット)だった。

(どこの国でもこのような場所はあるのですね。)

ルクルはGEMが反応する奥へ奥へと進んでいき、賭博場へと着いた。
辺りを見渡しユリウスを探していると、………何だが見たことある男性がふんどし姿になっていた。

「だぁああああ、また負けちまったっ。くそっ」

「はっはっはっ!どうする、ヤミっ!もう後がないぜ。」

「ちくしょうっこうなっ「━何をされてるのですか、ヤミ様?」

ヤミは聞こえた声で後ろを振り返った。そこにこの場には似合わない人物の姿が目に入り、驚きながら返事をした。

「おぉー、ダンナのとこのお嬢じゃねーか。どうしたこんなとこで。ここは女一人だと危ないぜ。」

「………誰がお嬢ですが、誰が。私は逃走したユリウス様を探しにきただけです。そちらこそ、その格好はどうされたのですか?」

ルクルはテーブルに目をやり、大体予想は着いたが一応聞いておく。

「いやー、今日は調子が悪くてな。金はもうすっちまって、服を賭けたが負けちまった。」

「なぁにが今日は、だっ。いつものことだろうがっ!」

余りの予想通りにルクルはため息をつき思う。……なぜ、シャーロットはヤミを好いているのか。クローバー王国の七不思議である。
気持ちを入れ替えると、相手の方に声をかける。

「申し訳ないですが、こう見えても一応魔法騎士団団長です、一応。流石にこのままでお帰り出来ませんので、服だけは返して頂けませんか?」

「おい、2回も一応言うな。」
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ