夢物語 長編
□蒼天の舞姫 8
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「まさかあんなにも忠告したのに、早速抜け出されるとわ……。」
ルクルはため息を吐きながらユリウスの反応をGEMでたどり、城下町へと来ていた。
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1時間前━。
書類整理が終わり、後はユリウスのサインだけ必要なので、ルクルは執務室へと向かっていた。
━コンコンッ
「ユリウス様、ルクルです。書類追加分お持ちしました。…………………………ユリウス様?」
返事が無いので嫌な予感を感じながら扉を開けると、中はもぬけの殻だった。
するとタイミングが悪いことにマルクスも来てしまい、ユリウスがいないと分かるとまな尻を吊り上げる。
「あの人はっ!毎回毎回ぶらりとしてッッ!!」
「マ、マルクス、落ち着いて下さい。私仕事に目処がついてますので、……探してきます。」
このままマルクスが爆発してしまうと、こちらにも被害が及ぶ。
触らぬ神に祟りなし━━まぁ、探すと言いつつ逃げてきたルクルであった。
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GEMをたどり着いた場所は、闇市(ブラックマーケット)だった。
(どこの国でもこのような場所はあるのですね。)
ルクルはGEMが反応する奥へ奥へと進んでいき、賭博場へと着いた。
辺りを見渡しユリウスを探していると、………何だが見たことある男性がふんどし姿になっていた。
「だぁああああ、また負けちまったっ。くそっ」
「はっはっはっ!どうする、ヤミっ!もう後がないぜ。」
「ちくしょうっこうなっ「━何をされてるのですか、ヤミ様?」
ヤミは聞こえた声で後ろを振り返った。そこにこの場には似合わない人物の姿が目に入り、驚きながら返事をした。
「おぉー、ダンナのとこのお嬢じゃねーか。どうしたこんなとこで。ここは女一人だと危ないぜ。」
「………誰がお嬢ですが、誰が。私は逃走したユリウス様を探しにきただけです。そちらこそ、その格好はどうされたのですか?」
ルクルはテーブルに目をやり、大体予想は着いたが一応聞いておく。
「いやー、今日は調子が悪くてな。金はもうすっちまって、服を賭けたが負けちまった。」
「なぁにが今日は、だっ。いつものことだろうがっ!」
余りの予想通りにルクルはため息をつき思う。……なぜ、シャーロットはヤミを好いているのか。クローバー王国の七不思議である。
気持ちを入れ替えると、相手の方に声をかける。
「申し訳ないですが、こう見えても一応魔法騎士団団長です、一応。流石にこのままでお帰り出来ませんので、服だけは返して頂けませんか?」
「おい、2回も一応言うな。」