夢物語 長編
□蒼天の舞姫 12
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「これが魔神の遺骨…………。」
今ルクルはこのクローバー王国を語る上で最も重要な場所、最果ての地ハージ村へと来ていた。
丁度今日でルクルがこの世界に来て1年経ち、こちらでの生活に慣れてきたのでクローバー王国の歴史に触れてみようと思い立ったのだ。
ルクルは遺骨の上まで来ると人物像の近くに降り立つ。
「…この方が初代魔法帝……でも、何でしょうこの場所の感じ…。」
(とても━━哀しい……?)
いやまさか…と思い気持ちを入れ替え、初代魔法帝像に向き直り頭を垂れる。
「ご挨拶が遅れました。私、ヴィントブルーム王国のマイスターオトメ、ルクル・ベルベットと申します。今は現魔法帝のオトメをさせていただいております。……今もこの国には深く身分、魔力差別が根付いております。ですが、先日国王がクローバー王国を変えようと一歩を踏み出しました。民全員の気持ちが変わるのはまだまだ時間はかかると思いますが、━━どうかお見守り下さい。」
ルクルは王都の方を眺め、国の変革、国の平和を願い小さく歌いだした。
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この町の教会に住む少年ユノは、夕方近くになっても帰ってこないヤツを探していた。
どうせ何時もの如く、筋トレにいそんしんでいるのであろうと考えながら歩いていると、見覚えのある後ろ姿を見つけた。
名前を呼ぶが反応が無く、仕方なく近付いて肩を叩きながらもう一度呼ぶ。
「アスタ。」
「っ!ユノっ!」
「……どうしたんだ、そんなアホ面して。」
「誰がアホ面だぁあっ!…いや、なんかさっきから歌が聴こえて……。」
「…歌?」
アスタに言われユノも耳を澄ませると、確かに歌が聴こえる。
何処からっと探しているとアスタが魔神の上に人がいることに気付く。
「ユノ、あそこっ!」
「…………女の人?」
もう一度耳を澄ませてると、その女の人が歌っているようだ。
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また開幕の合図が響く
仕方なく繰り返しを踊る
この世界を綴る物語
終末はあなただけの為に
小さく 祈り続ける
ただ ただ 「幸せに」
残された未来がもう少なくても
大切なものを守り通したい
その為には神様に逆らうことも
迷わず厭わずに罪を犯す
夏の蝉のように儚くて
もうすぐ私は死ぬとしても
貴女に傍で笑って欲しい 倖せを下さい
もう一度 始めましょう
今度は きっと 幸せな結末を 期待して
せめて 最後のその時まで
ずっと 優しく 微笑んでいられるように
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