夢物語 番外編
□蒼天の舞姫 番外編
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━━それは国王主宰の夜会が開かれる前のお話。
「ユリウスよ。また余に断りもなく魔法騎士団の城の警備を変えたらしいな?」
「恐れながら、陛下。陛下の安全を第一にと考えた結果です。」
「くっ、うぬぬぬっ」
(己、ユリウスめっ!余と同様の権限があるからというて、余より目立ちよってっ!)
そんな2人のやり取りをユリウスの後ろでルクルとマルクスは眺めていた。
(この方がクローバー王国の国王なのですね…しかし、これは)
ちらりとマルクスに視線をやると、視線を受けたマルクスは軽く肩をすくませる。
(これが通常運転なのですね…これではユリウス様もさぞやりにくいでしょうに。なら………)
考え事をしていると、国王はルクルに興味を持ったのかユリウスに尋ねていた。
「…時にユリウスよ、そちらのおなごは初めてじゃな………そなた名は何と申す。」
「お初にお目にかかります。私、魔法帝直属で側近のルクル・ベルベットと申します。…誉れ高きクローバー国王様に直に対面出来、心より嬉しく思います。」
ルクルの返しにギョッとするユリウスとマルクスだが、それに気づかない国王は機嫌良くルクルを見る。
「ほほ?これはこれは…良く分かっている部下が入ったの、ユリウス。そちには惜しい程じゃ。」
「あ、ありがとうございます。」
「どうじゃ、ルクル?この後余とお茶でもどうだ?上手いケーキもあるぞ?」
「いや、彼女は「まぁ!よろしいのですか?国王様とお茶出来るとは家族に自慢出来ますわ!」
ルクルはユリウスの言葉を遮ると目配せし、大丈夫だと伝える。
そうこうしている内にユリウスとマルクスは謁見の間を追い出され、扉を見つめる。
「ユリウス様、大丈夫でしょうかっ?国王は女たら……んンっ!女性がお好きなはず…。」
「マルクス君…隠せてないから。確かに心配だけど、ルクル君を信じるしかないね。それに国王だって嫌がる女性に乱暴しないよ……………うん。」
段々と不安になってくるユリウスとマルクスであった。
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ルクルは国王とお茶をする為、王宮の中庭へと来ていた。
数少ない自慢話に律儀に驚くルクルを気に入った国王は、自分の手をルクルの手に徐々に伸ばす。
ルクルはそれを見計らって逆にこちらから握り、国王に畳み掛けるように話し出す。
「それはそうと国王様っ!何故国王様は自分の魅力をそんなに隠してしまわれるのですかっ!」
「ほ?か、隠す?」