夢物語 番外編
□蒼天の舞姫 番外編
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「待てぇええ、ルクルッッ!」
「…いやっちょっ、その手に持ってるの何ですかっ!?」
今日は忙しい案件もなく本部の回廊を歩いていたルクルは、突如聞こえてきた声に振り向いて目を剥いた。
仕留めたばかりであろう猪を持って突進してくるメレオレオナに、ルクルは条件反射で逃げていた。
「今日という今日は、鍛練するぞぉッ!」
「その猪は関係ないのではッ!?」
「莫迦者ッ!鍛練後の夜食に決まっているッ!」
「えぇッ!?でも、私まだ仕事がッ!」
「魔法帝から許可は出たぞッ!あと2人程連れてっていいとなッ!」
(ユリウス様、メレオさんに貸しでもあるのっ!?)
回廊を走り回っているといつか見た2人組が目に入り、ルクルは慌てて声をかける。
「フエゴレオンさんっ!ノゼルさんっ!」
「っ!ルク………姉上っ!?」
「……………なんだその猪は。」
ルクルは2人の背後に隠れるとマントをぎゅっと掴む。ずっと走っていたので腕に掴まりたかったが、それでは失礼だろうと思いマントになった。
走り回っていたからだろう、息は乱れ頬は紅潮し目は潤んでいる…フエゴレオンとノゼルはルクルに釘付けとなり固まってしまう。
魔法騎士団長として任務任務の毎日だった2人には少し刺激が強すぎたみたいだ。
だが、そんな油断が雌獅子の前では命取りとなる。
━━━ガシッガシッガシッ
「きゃっ!?」
「なっ!?」
「っ!?」
「フハハハハッ!丁度良いのが釣れたわっ!よし、行くぞッッ!」
「メレオさんッ!?団長のお二人はまだお仕事がッ!」
「いや、ルクルもしかしたら魔法帝に……。」
「…………はめられたか。」
「えぇっ!?」
魔法帝に呼ばれて本部に来た2人だが、それほど大した用事では無く疑問に思いながらアジトに戻る途中だったのだ。
その時ユリウスに"猪に気をつけて"と言われ、何の事やらと思っていたと言う………メレオレオナを見て事態を察したらしい。
(…ユリウス様、メレオさんに弱味でも握られてるのかしら?)
ルクル達一同はメレオレオナに拘束され、鍛練を行う為に強魔地帯へと向かった。
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あれから鍛練鍛練の連続で、メレオレオナ以外疲れきっていた。
「メレオさんって…体力お化けですか……。」
「………もはや猛獣の域だな。」
「………我が姉ながら否定できん。」
団長として鍛えている2人を凌ぐ体力に脱帽である。