夢物語 長編
□蒼天の舞姫 3
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名前を問われた2人は、ルクルの言葉に戸惑いながら自己紹介をする。
「そういえば、まだ言ってなかったね。私は魔法帝直属の回復魔導士のオーヴェンだ。よろしく。」
「私は魔法帝の側近のマルクス・フランソワと言います。無事に目が覚めてよかったです。」
「お気遣いありがとうございます。オーヴェン様。マルクス様。……えと、1つお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「うん?」
この後続く言葉に3人は驚くこととなる。まさか、魔法が当たり前にある世界でその様なことを聞かれるとは思わなかった。
「魔法騎士団?魔法帝?……魔法とはおとぎ話なのではないでしょうか?」
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それからルクル達はお互いの情報を交換しあった。
ルクルはヴィントブルーム王国、マイスターオトメ━オトメのこと。
ユリウス達はここはクローバー王国で魔法とは生まれながらに大なり小なり使える能力だということ。
ルクルの方はオトメの説明など難しいこともあり、マルクスの記憶交信魔法で記憶をユリウス達に見てもらったりした。
マルクスは普通なら記憶を見られるという行為は、必ずいい顔されないので率先して記憶を見てくださいと言われたときは驚いた。
そして、心なしか目が潤んで頬が紅潮して必死に興奮を抑えるような眼差しで自分を見てくるルクルにマルクスは珍しく照れるのであった。
お互いの情報を出し合い、ユリウスとオーヴェンは考え混んでいた。
ちなみにルクルとマルクスは未だに見つめ、照れるを続けていた。
その事に気づいたユリウスは一旦深く考えるのを止めて…
「…んンッ!」
咳払いの音に皆の視線が集まってからユリウスは口を開いた。
「つまり、信じられないことにルクル君はこことは違う世界の人で在って、気がついたらここクローバー王国の領内にいたってことになるんだね。」
「そう…いうことになりますね。私がいた世界で魔法というとおとぎ話になってしまいますし、過去でも現在でもクローバー王国という国は聞いたことがありません。」
「そうだね、僕たちもルクル君いうヴィントブルーム王国やオトメという力は聞いたことがない。いや、しかし…」
ここでユリウスは止まり、この後起こることがわかってしまったオーヴェンは苦笑、マルクスは右手でも頭を抱えてしまった。
ユリウスはおもむろにルクルの手を握り、目を輝かせながら詰め寄った。
「世界にはまだまだ分からないことだらけだね!!世界を越えるか…是非とも僕も体験したいものだよ!!それとルクル君のオトメの力!!魔導書(グリモワール)がないのにそれだけの力が秘められているなんて!!」
「へぇッ!?あ、あの?」
「でも、ルクル君からは不思議な魔を感じるんだよ!!最初会った時はとても微弱だったけど、今は大分魔がハッキリしてきたね!!もしかしたら世界を越えて体質も対応したのかな!?」
「ま、…マナですか?」
「そう!!もしかしたらルクル君もグリモワールが授与されるかもね!!そうと決まれば次の授与式はいつだっけ??あぁ、でも先にオトメの力が見てみたいな!!今からで、グェッ!?」