夢物語 長編
□蒼天の舞姫 8
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その言葉を受けた相手の男達はニヤニヤと笑い、嘲笑うかのように喋りだした。
「男と男の賭け事だぜ?簡単には、はい良いですよとはいぇねーなぁ?」
「いや、だから俺はもう金がないからこれを」
そういってグリムワールを出すヤミだったが、それを無視してルクルが答える。
「…………生憎こちらは対価となる金子は持ち合わせておりません。」
「だったら話しは早い。ここは賭博場だ。服を返して欲しければ、てめぇの服を賭けな。」
男の言葉に周りはどよめき、続いて舐めるような視線でルクルを見る。
流石にあからさまな視線にルクルは眉をピクリとさせる。だが、ここにいるもの達は誰も知らない。元の世界、ガルベローベ始まって以来一二を争う怪物が━━━負けず嫌いで、容赦がないこと。
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「なっ、…はっ!?」
対戦相手である男は、目の前のダーツ的に刺さる矢の数に驚愕する。
自分が最も得意とするダーツで勝負を仕掛けたが、相手は外す所か全て的に当てている。
そして、また後ろから一本飛んできて何本目か分からないBULL━中心に刺さった。
「………そちらの番ですよ。次、何を賭けますか?」
的の線から何歩も後ろにいるルクルが声をかける。男の自尊心を叩き潰す為、1本的に当てる度に1歩ずつ後ろに下がっていったのである。
「━くそっ、こうなったら俺も服をッッ!!」
「…ご冗談でしょ。私、殿方をひん剥く趣味はございませんので……その膨らんでいるお腹仕舞ってくださる?」
余りの言い草に男は返す言葉無く、膝が崩れた。
その姿を確認し、ルクルは戦利品と服を手に入れるとヤミと共にその場を後にした。
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「いやーおめぇ強いな。やっぱお嬢だわ。」
「やめて下さい。あと、これに懲りて賭け事はお控え下さい。団長がふんどし姿でうろ「それは無理だな。」
「…………………………………。」
余りにバッサリと断られたので、ルクルはそ以上言うのを止めた。いや、諦めた。
「…私まだ仕事がありますので、先に失礼します。あと、これはヤミ様に差し上げます。一応仕事中でしたので。」
「えっいいの?お嬢いいヤツだなぁ。」
「………………………………。」
ルクルは言いたいことは山ほどあったが━━━━諦めた。一礼するとヤミと別れたのであった。