夢物語 番外編

□蒼天の舞姫 番外編
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「よしっ、今日はここまでだっ。飯にするぞッ!」

メレオレオナはそう宣言すると仕留めた猪の調理に取りかかる。
その様子を横目にルクルはノゼルがまだここにいることに疑問に思う。
鍛練に参加しても、終り次第シルヴァ邸に帰りそうなのに。

「…ノゼルさん、お帰りにならなくて大丈夫ですか?」

「………メレオレオナが満足するまでおらねば、後々面倒なことになる。」

「面倒?」

「よく幼い頃もこうして姉上は俺達を鍛練に連れ出していたんだ。途中で帰ろうものなら、キツイ鍛練の追加があったな…。」

この2人にここまで言わせるとは、メレオレオナ恐ろべし。

「おい、出来たから食べるぞッ!」

「あっ、お手伝い出来ずにすみません………って、メレオさん。それなんですか?」

「見ての通り猪の姿焼きだ。」

(それはもはや料理とは言わないような………。)

ルクルは余りに豪快なメレオレオナに苦笑しながら、手直ししていくのであった。



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ルクルは持参していた荷物から調味料を取り出すと、次々とジビエ料理を作っていく。
メレオレオナの料理は血抜きもしないのでいつも食べるのに苦労したが、ルクルの味付けはシェフ顔負けでフエゴレオンとノゼルも舌鼓を打ちながら食していく。

「まさかこの様な場所で、これ程上手い飯を食えるとは思わなかったぞルクルっ!」

「ありがとうございます、メレオさん。おかわりありますので言ってくださいね。」

「ルクルがこれ程料理が上手いとは…誰かに習ったのか?」

「はい、以前ガルっ。」

(あぶなかったですっ。まさかオトメ養成学校の訓練で身につけたなんていえませんっ!)

「…ガル?ルクル?」

「あっいえっ!我が家は花嫁修業の一貫で家事を一通り覚えるのです!その中で料理が楽しかったので覚えていったのですよ。」

(間違ったことではないです…ガルベローベはある意味花嫁修業として入る学生も何人かいたはず。)

ルクルの答えに納得がいったフエゴレオンは思わず言葉が出た。

「そうだったのか……ルクルは良き妻になるだろうな。」

━ガシャンッ

ルクルはフエゴレオンの言葉に紅くなり固まってしまい、お皿を落としてしまう。
その一方でメレオレオナとノゼルは飲み物でむせている。
全く、とんだ発言をする愚弟/好敵手である。

「フエゴレオンさん…。」

「いやっ別に深い意味では無くっ、素直にそう思っただけでっ!」

「……まぁ、ありがとうございます。」

ルクル達はこの話はここまでにする。
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