忘れなれない人

□第2話
1ページ/1ページ


はじめての学校はじめての教師

夢の叶った瞬間だった

なのに教室に入ると同時に目に入る
ずっと会いたかった人の姿があった



でも言われた言葉はどれも傷つくものだった

「誰ですか?どこかでお会いしたことありましたっけ?」

そう言われた


言われて当然だった


4年前のあの日私は自分勝手な行動で夢莉を傷つけた


私が20歳の時夢莉はまだ14歳中学3年生になったばかりで周りからはなんで中学生なんかと付き合ってるんやとか犯罪やとか言われすぎて、幼なじみで昔から知ってる夢莉やったし見た目はその辺の中学三年生と比べても大人っぽくて全然気にしていなかった私からは周りの声は考えもしていなかったことで耐えれなかった


全部私が悪い

夢莉を傷つけて夢莉から離れるように地元を出て教員試験を受けるため猛勉強した

夢莉と別れた後新しくできた彼氏とは結局うまくいかなくて、夢莉以外考えれなくてすぐに別れた


夢莉のことを嫌いになったわけでもない
弟として見てたわけでもない
ただ歳の差が周りの声が私を苦しめた
そして弱い私は嘘をつき夢莉に別れを告げた

なのにどうして…

さっき生徒から聞かれた結婚してますか?と言う質問。

結婚なんてしてなかった

たぶん薬指につけてる指輪をみんな見たんやろう

ただ今の彼氏からもらったペアリング…

今の彼氏はどん底だった私を立ち直らせてくれた

夢莉を忘れられなくて色んな人と関係を持っていた私を止めてくれた

好きか?と聞かれるとわからない…
でもすごく感謝してる。
彼のことを好きになれたらどれだけいいやろうって…

なのにどうして神様はまた私にこんな残酷な再会をさせたんやろう…




夢莉にずっと会いたかった

会って謝りたかった

あの時はあーするしかなかったって…

でも大人になった夢莉に会いたかったってそう言いたかった

でも今日の夢莉を見て言えなかった

きっと私のことをすごく恨んでると思う

大嫌いだと思う


自分ではどうしようもないこの状況にただ呆然と立ち尽くすしかなかった

最後に言われた
「あんたと俺はただの生徒と教師ただそれだけ昔の話はすんなって」


夢莉にとってはもぉ過去のことなんやろう…

でも私には忘れられない人

忘れられない過去なんや

これから毎日顔を合わす夢莉に私は一体どう接すればいい?
何を話せばいい?

自問自答している間に次の授業を告げるチャイムが鳴った



教室に戻るとそこに夢莉の姿があった

何もなかったかのように友達と話す夢莉


クラスのほとんどの女の子が夢莉を眺めてる

きっとめっちゃモテるんやろうな

サラッとした高身長イケメン
昔よりガッチリとした上半身

普段はクールなのに笑うと目がなくなる笑顔

その上偏差値の高いこの高校にスポーツ万能

モテない要素なんてなかった

どうして私はあの時夢莉を手離した?
なんで周りの意見を間に受けて一番大切な人を傷つけた?

まだまだ子供だったんだなって実感する


すると夢莉の視線がこっちに向いて目が合う

表情一つ変えない夢莉の視線に私はすぐに逸らしてしまった


「山本先生このプリントみんなに配ってくれますか?」

担任の先生に言われ私はみんなにプリントを配る

「じゃみんな書いたら山本先生まで持ってきてな〜」

担任の先生がそう告げると書き終えた生徒から順番に私のところに持ってくる

夢莉と話せるかな…そう思っていたのに夢莉は隣の百花にプリントを渡して百花が代わりに持ってきた


「はい。久しぶりですね、彩先生」
そうニッコリ笑う百花。昔から変わっていないこのチャラさ

「木下くん?ありがとう」

「木下くんとか気持ち悪いで」

そう誰にも聞こえない声で言ってくる

私と別れた後夢莉がどう過ごしていたのかあとで百花に聞いてみよう…



一日が終わり、下校の時間になりみんながどんどん帰っていく

「百花ちょっといい?」

「あぁ、彩ちゃんおつかれ、元気してた?」

「先生やろ?元気やったで」

「もぉみんな居らんねんしええやん、で?どうした?」

「あのさ…夢莉ってこの4年間どうしてたん?」

「は?笑 なにそれ自分で聞けば?」

「聞かれへんから百花に頼んでるんやん…私が話しかけても知らんふりやし…」

「まぁそれは仕方ないんちゃん?彩ちゃんと別れてからの夢莉はもう昔の夢莉じゃなくなったし、まぁ俺の前では昔となんも変わらんけど、他の人に対しての対応は全然ちがうな」

「どうゆうこと?」

「夢莉はもう二度と大切な人とか作りたくないねんて、どうせいつか離れるなら最初からそんなもんいらんって、だから適当に離れられる関係しか持たへんねんあいつは」

「私のせいやんな…」

「そうやろうな。でも仕方ないんちゃう?6歳も離れてたし…でもあいつはほんまに彩ちゃんのこと大好きやったと思うで。それは親友の俺が保証する、だからこそ付いた傷はでかいよ」

「どうやったらまた話してくれるかな?どうやったら私とまた目を見て向き合ってくれるかな?」

「さぁな。でも一つ言えることはどんなけ無視されてもひどいこと言われても挫けるな。そんなんで傷つくな。どんなけ傷つけられても頑張るんや。そしたらいつかはわかってくれる…夢莉なら」

百花に言われてはっとした。
そうやこんなことで挫けたあかん…

こんなんで傷ついたらあかん…
私は夢莉にもっと酷いことしたんやから


その日から私は何とか夢莉と話したい
それだけだった


でも簡単には行かなくて私が学校に来て早くも1ヶ月が過ぎた
次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ