忘れなれない人

□第6話
1ページ/1ページ



気がつけば高3年になってもぉはやくも半年が過ぎようとしていた

あれ以来あの人とも学校で用がない時以外話すこともなくなり、百花とも少し距離ができていた


別にお互いさけているわけではないけど、なんとなく話さないことが普通になり、相変わらず俺はその日その日ちがう女と過ごすことが増えた

はっきりいって周りから見れば最低なのかもしれないけど、近寄ってくる子は俺がそうでも受け入れてくれる
1日でも俺に愛情をくれる

それが俺も楽だった

傷つくことも傷つけることもなくその時その時楽しく過ごせたらそれで良いと思ってた

でもある日一人の子に言われた

みんな本当に夢莉のことが好きやからだからこそ傷ついてでもたった一日でも一緒に居たいって思って過ごすんだよって

俺は気づいてなかった
毎日違う女といる事でその子たちのことをずっと傷つけているってことも自分がしてることは昔あの人にされたことよりも最低だってことも。

だからその日以来俺は誰とも過ごさなくなった

まぁ傷つけるとか傷つけられるとかそーゆーのがめんどくさくなった

だったら一人でいる方がマシやって

今日も一人いつもの屋上でなんとなく時間を潰す

授業はでたりでなかったり
幸いにも勉強はできる方だったので授業なんか受けなくても周りにはついていける

屋上で一人今日もタバコを咥えた


すると後ろから屋上の扉が開くことがした

珍しいな普段誰もくることないのに

振り向くと見たことない女の子が立っていた

「あの…太田先輩…」

「ん?あんただれ?」

「私…一年の小林莉奈です」

「へぇ〜はじめまして。で?俺になんか用?」

「先輩いっつもつまんなさそうな顔してるからなんかあるのかなーって」

「なんやそれ初対面やのに急にぶっ込んでくるなー」

「やっぱりなんかあるんですか?」

「さぁーな、あっても教えへんよ」

「なんで先輩はみんなと過ごさないんですか?みんなは太田先輩のこと好きやのに何で自分から避けるんですか?」

「一人が楽やから。ただそれだけ」

「うそ!だって先輩悲しそうな顔してます。本当は先輩だってもっと笑いたいんじゃないんですか?」

「お前な〜あんま他人の中に入ってくんなって。関係ないやろ」

「関係あります!!!先輩のこと気になるんです!自分でもわからないけど気になるんです…」

「迷惑。自分の感情を俺に押し付けてくんなって」

「私これでも学年で一番モテるんですよ?でも私は他の子には興味でないけど先輩には興味出るんです」

「ぷ…ぷははは」

「先輩…?」

「あんた面白いな」

「やっぱ先輩は笑ってる方がいいです…ずっと笑顔の方が似合います」

「生意気な一年やなぁ〜」

「へへ生意気さが私の取り柄出すから!」

そう言って彼女は笑った


「先輩…みんなを避けるのやめましょ?何があったのか知らないけど、昔はいっぱい笑う人だったじゃないですか…過去を捨てて今を向き合いましょ?」

「何で俺の昔を知ってるん?」

「中学も先輩と同じだったんで。中学の時めちゃ明るかったのに高校入って先輩を見つけたらいつもつまんなさそうな顔してたから…」

「そっか笑」

そう言って俺は彼女の頭に手を置いた

「俺はまだ誰かと関わるつもりはない。さぁ帰った帰った」

「嫌です、帰りません」

「やっぱお前おもしろいな。でも一個だけ言わせといて。俺に関わるなら傷つくことも覚悟で関わって。それが嫌ならもぉ関わるな」

「いいですよ、私は。傷つけられようが先輩が昔の先輩に戻るまでとことん付き合ってあげます」


「あそ。じゃいいで。今日から一緒に帰るか」


その日から俺は彼女と登校、下校をすることが増えた

って言っても学校に行ってからは屋上で過ごすことの方が多かったけど、それでも前よりかは楽しいと思う時間が増えた

噂では俺と莉奈が付き合ってるって流れてるって聞いたけど、正直その方が好都合や

久々出ないとやばい教科があったので教室にいく

するとみんな近寄って話しかけてくるけど正直俺からすると誰とも話す気にはなれなくて軽く流す


教室の扉が開きあの人が入ってきた

あーそっかこの教科の担当あいつやったっけ
ミスったな〜出んかったらよかった

前に立ったあの人と目が合う

でもすぐにそらされた

そして口を開く

「久々全員揃ってるね。じゃ授業はじめます」

授業がはじまり黒板に目を向けると説明をしているあの人と目があった

目が合うとすぐに晒すあの人

なんやねん感じ悪いやつやな

一気にだるなって外に目を向けると一年が体育をしていてその中に莉奈の姿があった


あいつばり足速いやん


見てる先には持久走でダントツ先頭を走っている莉奈がいた

綺麗なフォームで白くて細い綺麗な足

って俺はなに考えてるねん


急に恥ずかしくなって目線を前に戻そうとするとゴールをしてこっちに走ってくる莉奈に手を振られた

なにしてんねんあほやなぁって思いながらも俺は手をふり返した


「先輩こっち見過ぎ、ちゃんと授業受けてくださいよ!!」

「うっさい!!お前もはよ向こう行け!!」

「はーい、じゃまたあとでね」

そう言ってみんなの輪に走って戻っていく莉奈を見届けると

「太田くん今授業やで。みんな授業してるねんから静かにして」

見たことないくらい怖い顔をしてるあの人

「あーはいはいすんません、じゃ邪魔者は出て行きますわ〜」


「ちょっと太田くん!待ちなさい!!」

後ろから声がするけど無視して教室を出た

屋上に向かおうと廊下を歩いていると前から足を引きずりながら歩く莉奈がいた

「おい!!!」

「あ、先輩!あれ?授業は?」

「んなことはええねん、足どないした」

「持久走終わって友達と走り回ってたらこけちゃって、でも全然大丈夫保健室いってきますね」

「まて、連れてったる」

俺は莉奈を抱えて保健室に連れて行く

でも先生は居なくてそこら辺にある物で軽く手当をした

「ほれ、もぉ大丈夫やろ。じゃ俺屋上いってくるから、お前は大人しく寝とけ」

「いや…」

「は?」

「行かないでください」

「なんで?」

「先輩ってばかなんですか?普通聞かなくてもわかるでしょ!!」

「は?」

「そばにいてほしいんです!!!」

「なんで?」

「好きやから…」

「は?え?」

「最初は気になる人ってだけやったし、昔みたいに先輩に笑顔が戻ればいいなって、ただそれだけやったのに一緒に過ごせば過ごすほどどんどん気になっていって気づいたら好きになってました」

「…」

「この気持ちは伝えんとこって困らせるだけやってわかってたんですけど…やぱ困らせちゃいましたね…すみませんもぉ行ってください」

「ふざけんな…行けるわけないやろ」

「え…」

「最初はずかずか人の中に入ってくるし生意気やし、うっとーしやつやなって思ってた。でもそれと同時に面白いやつやって…でも最近お前といると楽しくて安心して本当の自分で居れる気がして…その…好きかって聞かれたらわからんけど…でも俺…「ギュ」莉奈…?」

「いいんです…いいんですよ先輩…。好きじゃなくてもいい…。私が勝手に好きになっただけですから…。でも先輩一つ聞いてもいいですか…?」

「ん?」

「なにがあったんですか…?なんで先輩は笑わなくなったんですか…そろそろ聞きたい」

「はぁ…お前になら話してもええで。中学の時付き合ってた人がおった。幼馴染の年上で小さい頃からずっと一緒で優しくて綺麗で可愛くてめちゃくちゃ大好きやった。大好きで大好きで仕方なかった、でも振られてん。弟にしか思えへんって。じゃなんで俺と付き合ってんって…ずっと一緒に居よって言ってたのは嘘やったんかって…それから俺は大切な人を作ることはやめた。どうせ居なくなるなら最初からいらんっておもった」

「そうだったんですか…だから誰とも関わらないんですね…」

「そう。その相手が今の俺の担任」

「え?えー?え?山本先生…?」

「そう…あいつが俺を裏切った女」

「うそ…確かにすごい綺麗な人…」

「はは…むかつくくらいにな…」

「まだ好きなんですか?」

「いや…好きじゃない…むしろ恨んでる。でもそんな自分もださいしガキやなって思う。頭ではわかってるねんけどどうしてもあの時のこと思い出して前には進めへんねん」

 

自分でもわかってる今のままじゃあかんことも、前に進まなあかんことも。







「私が…私が忘れさせます…。いつか絶対に。だから先輩…私のこと好きになってもらえませんか…?」
次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ