短編

□遠いあなた
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彩ちゃんが卒業して、5年が経った。
彩ちゃんが卒業して以来私はNMB48に居る必要がなくなってしまったように卒業を考え出し、彩ちゃんが卒業して1年後私も卒業した。

私たちはファンの人が思ってたような関係だったのかと聞かれると正直わからない。
付き合ってたかと聞かれると付き合ってはなかった。
ただ一つ、あの時あの時間たしかに私達はお互いがお互いを必要としていた。

それだけは確かだった。

私は卒業してから女優の道へ進み彩ちゃんはシンガソングライターとして今もずっと輝き続けている。

こんな人と毎日一緒に活動し毎日ほとんど一緒に居たという事実がまるで嘘かのように今では遠い存在になってしまった

でも今でもたまに思い出す。そしてその思い出を思い出すたんびに私の胸はまた苦しくなる。


そんなことを考えながら久々のオフ家でゆっくりと過ごそうと思い、私は録画をしていたドラマを一気見しはじめた。

そろそろお昼やなって思い携帯を開く

ふと目に止まったニュースに言葉を探す頭さえなくなってしまったかのような感覚に襲われた

「元NMB48現シンガーソングライターで活躍中の山本彩。一般男性との熱愛発覚」

と書かれたニュースがトレンド入りしトップに大きく記されていた。

言葉を失うとはこのことだろう。
私は少しでも期待していたのかもしれない。

自分が今でも彩ちゃんのことを思うようにもしかしたら彩ちゃんも私のことを今でも思い出してくれているのではないかって…

でもそんな儚い願いは一瞬でかきけされた。

「結婚おめでとうございます。」

この言葉を素直に言えたらどれだけいいだろう。

私はまだ2人ともNMB48だった時彩ちゃんに気持ちを伝えるか迷った時があった。

でも将来のことや彩ちゃんのことを考えるとどーしてもその言葉は伝えれなかった。


あの時あの言葉を伝えれていたらあなたは私のところに来てくれていましたか…?

答えが返ってくるわけでもなく、私はただ1人携帯の画面を見つめ色んなことを想像してしまい、余計に苦しくなった。

そんな時携帯の画面が切り替わり

「山本彩」と記された

彩ちゃんが卒業してから、1.2回は会ったもののそれ以来会う事も話すこともなくなり私は戸惑いを隠せたなかったけど、緑のボタンを押しそっと携帯を耳に当てた。


「もしもし…」
「もしもし…ゆうり…?」
「はい。お久しぶりです。」
「なんで敬語なん…」
「だって久しぶりやしなんかすごい遠い存在って感じやから…」
「ゆうり今から会える…?どーしても聞いてほしい話があるねんけど…」

今のこの状況で何を今更改まって話すことがあるんやろ。
なんて思いながらもこれが最後になるかもしれない。
最後に彩ちゃんに会って自分の気持ち伝えて笑顔で祝福してあげたいと思い
私は返事をして待ち合わせのカフェと向かった


店につくと既に彩ちゃんは来ていて少し小走りで席へと向かった

「すみません。お待たせしました」
「こっちこそいきなり呼び出してごめんな」
「大丈夫。」
「あの…ニュース見た…?」
「あぁ…見ました。」
「その話なんやけど…私ずっと夢莉のことが好きやった。NMB48におるときも卒業してからも。でも夢莉は私から離れていってこれが夢莉の出した答えなら私は邪魔したらあかんって思って、夢莉のことを忘れる努力した。今付き合ってる人も好きかって聞かれたら好きやけど正直夢莉を超える人はやっぱいなくて…それで…あかんって分かってるねんけど、好きやって気持ちだけはちゃんとわかっててほしくて…」
「さやかちゃん…」
「だから…夢莉…幸せなって…。うぅ…その相手が私じゃなくてもいい。夢莉が幸せならそれで良いから…」
「さやかちゃん。私もさやかちゃんのことずっと好きやったよ。先輩とか関係なく1人の女性として。でもさやかちゃんにはちゃんと家庭を持って子供を授かって幸せになってほしいって思ってた。だから私はさやかちゃんに対しての気持ちにずっと蓋をしてた」
「ゆう…り…ぅ…ぅう…」
「ごめんね。でも後悔はしてない。きっと彩ちゃんは良いお母さんになる。そしていい奥さんになる。大丈夫だよ。今の彼氏さんと結婚して幸せになって」
「ゆうり…いや!いやや…」
「さやかちゃん。これがいい答えだったっていつか言える日が必ず来る。だから大丈夫だよ」

私は溢れてくる涙を最後まで抑えることができず流してしまった

「泣いてるやんか…」
「そら男に生まれてきてたらとかもっとちがう出会い方だったらとか色々思うよ…でもそんなこと思っても仕方のないことやから…だったら大切な人の幸せを私は願うよ」
「私の幸せが夢莉と一緒にいることだったら?」
「それでも私は一緒にはなれない。だって結婚もできないし子供もできないんだよ?さやかちゃんの人生を潰すようなことわたしにはできない」

もうだめだこれ以上一緒に居たら私はさやかちゃんに手を差し伸べてしまう気がして私は立ち上がり一言さやかちゃんに最後の言葉を告げた








「出逢ってくれてありがとう。本当にだいすきでした。さようなら」


最後涙を吹き一番の笑顔で別れを告げた



それ以来さやかちゃんとは会ってないし連絡もとっていない


どうか彩ちゃんが幸せでありますようにと今日も私は願う
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