短編

□忘れられない人
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私は1年前のあの日大切な人に別れを告げた

嫌いになったわけでも好きじゃなくなったわけでもない

ただ一緒にいる事に疲れてしまった

毎日一緒に居ることに幸せを感じていたのがだんだん不安や嫉妬それを繰り返すたびに疲れてしまい逃げ出した

後悔はしてるけど今更どうにもならない
だから私はあの人と別れた後、少し潰れかけてた



莉「夢莉さんどうかしましたか?」

夢「ん?どーもしてないで?」

莉「あの…私…夢莉さんのこと1番に見てますから…」

夢「え?」

莉「前に私がNMB48に入ってすぐの頃…ダンスも歌も全部上手くいかなくて嫌になって泣いてた時なんも言わずにただ涙を拭いて隣にいてくれたこと覚えてますか?それで私が泣き止んだらそのまま夢莉さんは立ち去ったんです。あの日から私の中で夢莉さんはみんなとはちがう存在になりました。」

夢「莉奈…」

莉「だってずるいですよ…あの時夢莉さん彩さんと付き合ってましたよね?」

夢「なんでそれ知ってんの…」

莉「みんななんも言わないだけで知ってると思います。見てたらわかりますよ」

夢「そうなんや…。ごめん」

莉「それなのにあんなことして…誰でも好きになっちゃいますよ…」

夢「ごめん」

莉「別れたんですよね…彩さんと…。忘れられないですか?」

夢「どうなんやろな。自分でもわからん別れを告げたのは自分やのに今でもたまに思い出す。彩ちゃんのことはほんまに好きやったし大切やったけどそれだけじゃどうにもならんこともあるんやなって思った」

莉「私じゃダメですか…?私ならずっと夢莉さんだけを見てます。絶対に夢莉さんを傷つけたりしません夢莉さんを1人になんてしません」

夢「莉奈…でも…」

莉「はじめは好きじゃなくてもいいです絶対好きにさせますから!!」

夢「はは笑 莉奈らしいな」

莉「やっと笑ってくれましたね。夢莉さんの笑顔が大好きなんで笑っててください」

夢「ありがとう」


私は彩ちゃんのこと忘れられたわけじゃない。

莉奈のことを好きなわけでもない

でも今は莉奈のこの優しさに甘えたいとおもった。


もしかしたら好きになれるかもしれないって


夢「じゃもぉレッスンも終わったし帰ろうか。送ってく」

莉「え?」

夢「1人にせんって言ったんは莉奈やろ。もう少し一緒に居たいから」

莉「じゃ今日夢莉さんの家泊まってもいいですか?」

夢「大丈夫なん?明日学校は?」

莉「明日はお昼からリハーサル入ってるじゃないですか、やから学校は朝から休みます」

夢「そうなんや。じゃいこか」

私は莉奈の返事を待たずに手をとり楽屋を出た

誰かと手を繋ぐ感覚は久々でまた彩ちゃんのことを思い出してしまった


よく公演終わり手を繋いで楽屋を出てお互いの家に泊まりに行ってたな…


「夢莉?」

私は見られたらややこしい人に莉奈と手を繋いでるところを見られてしまった


その人は…

夢「よし子…おつかれ」

朱「夢莉…なにやってんの」

夢「今日から莉奈と付き合うことなったから」

莉「え!!!」

夢「なにびっくりしてんねん、告白してきたのは莉奈やろ」

朱「夢莉…ほんまにそれでええの…?」

夢「よし子ごめんな。もういいねん。じゃまた明日。莉奈いくで」

私はまだ何か言いたげなよし子を残して劇場を後にした


きっとこれでよし子の口から彩ちゃんへと私と莉奈のことが伝えられるだろう。

それを聞いたあなたはなにを思いますか?
少しは嫉妬してくれる?

そんな思いも今は虚しくなるだけだった



家につき私は莉奈に飲み物を出す。

彩ちゃんはいつもカフェラテだったな…


夢「莉奈飲み物なにがいい?」

莉「あ、私やります!!」

夢「いいから、座ってて。」

莉「すみません…。じゃカフェラテとかありますか…?」

え…

まさか彩ちゃんと同じ答えが来ると思っていなかったので少し胸がぎゅっとなってドキドキする


莉奈にドキドキしてるのかそれとも記憶を重ねてしまってる彩ちゃんにしてるのか


その答えはわかってる

でもわかりたくないんだ

私は莉奈の元へいきぎゅっと抱きしめた

莉「夢莉さん…?」

夢「あかん…?もう少しだけこのままで居らせて」

莉奈は何も言わずにただ優しく抱きしめてくれた。

後輩に気遣わせてなにしてるんやろ

どうしてこんな私にここまでしてくれるんやろ

今の自分が嫌いで嫌いでどうしようもなかった

でももう決めたんや

私は今目の前にいる私だけを見てくれてる莉奈を好きになるんやって

それが逃げなのはわかってるけどでもそれ以外にこの辛い感情の消し方が分からなかった
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