Lyrics

□「イチゴちゃん」
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更に30分経っても二人は戻って来ず、本当に乳くりあっているのではないかと思い始めた頃。


「…まさか左馬刻と一郎クンがくっ付くなんて、ほんま急展開やな〜」


グラスの中の氷をガリガリと砕きながら簓が言った言葉に、空劫も氷を砕きながら頷いた。


「一郎がアイツに惚れてたなんて一ミリも気付かなかったしな」

「俺もや。左馬刻がまさかな〜。
どないする?二人がラブラブすぎて、俺ら除け者にされてまうかもしれんよ」

「拙僧はお前らと暴れられるなら他はどうなったって良い」


変わらない様子に簓は口角を上げて身を乗り出し、自分に視線を向けた空劫の猫の様な目を見ながら言った。


「まあでもあの二人がくっついてくれたおかげで、あんさんと仰山話せて近付けるチャンスと思えばええ機会かも知れんわ」


少しからかうつもりだった。
空劫はいちいちムキになってすぐ怒るから、その様子を見ているのが楽しかったから。
すると空劫の顔はみるみると赤く染っていき、簓が面食らうより早く大声で叫びだした。


「はァァ!?な、何言ってんだ!
ち、ちち、近付くって何だよ!!」


髪の毛と同じくらい真っ赤になった空劫はソファーから飛び退き、自分のグラスをひったくる様に手に取って再びキッチンの方へ駆けて行った。
身を乗り出した状態のまま固まる簓は、乱暴に氷を手掴みでグラスに入れている小さな背中に向かって言った。


「でも、ほんまやで」


空劫の後ろ髪が怒った猫のように逆立った様に見えた。


「俺、ほんまに空劫と色々な話したいと思っとるよ」

「…話すって、クソきめえギャグ言うだけだろ」


聞こえるか聞こえないかのボリュームだったが、簓の耳にはしっかり届いた。
何故か居ても立ってもいられなくなって、考えるより先に立ち上がった簓は迷いなくキッチンに向かい空劫の後ろに立った。


「…拙僧の後ろに立って良いのは仏さんだけだ」

「守護霊ってやつ?」

「守護霊だけじゃねえっ、人の後ろにいる仏さんは、」


ほら、すぐムキになる。
勢い良く振り返った空劫の耳が、顔と同じくらい赤く染っているのを見て、勝手に右手が伸びた。


「耳、イチゴちゃんくらい真っ赤やで」


お湯を沸かしているポットならピーと音がなりそうな勢い、沸騰しそうなほど空劫の顔は更に赤く染まり、耳が熱くなっていくのが指先にも伝わった。
バチンと音を立てて手を叩いた空劫が簓の脇を抜け、キッチンに逃げた時より素早く部屋を出て行った。


「あっ!どこ行くん!?」

「便所だよクソがッ!!」


その言葉を最後に一気に部屋は静まり返る。
ようやく我に返った簓は、両手で顔を覆いその場にしゃがみ込んだ。


「…いや、なんやこれ。
いや、いやいや、いやいやいや…」


自身の顔を覆って気付いた。
簓の手は空劫の耳と同じくらい、熱くなっていた。















↓敗因↓
@親父ギャグ難しい
A空劫の口調分からない
Bどう頑張っても恋芽生えちゃう

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