四神天地書

□第弐章
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それからまたしばらく経った。

この大極山にいる間は大体修行をしたり弟子の相手をしたりと何かと暇を潰しているのだがそれにしたって暇だ。

なにもすることがないし。

そう思っているとあの時の気をまた感じた。

燃えるような温かい気。

多分、朱雀の巫女だ。紅南国に降りたみたいだし、何より七星士とまた出会ったらしい。
七星士はちゃんとした人間だといいが。

調べたところによると青龍の方はあまりよろしくない。

まぁ、あんな国だと仕方のないことなのだろうが。


「陽茉莉。
少し話がある。」


「分かりました。」


そうして呼ばれ、おくに行くと井宿がいた。

こちらに気づき手を振っている。

軽く会釈をして太一君のところに行くと太一君は話し始めた。


「さて、朱雀の巫女が来たのは知っておるな。」


「はい。」


「早速七星士探しを始めてるらしいのだ。」


「お主らはまだそちらに向かうな。
陽茉莉には話したが、先に試練を与えるからな。

井宿、そなたは段階をみて行ってくれ。」


太一君はそう言った。

前も聞いた話だったしそうなることは分かっていたので返事をした。


「陽茉莉の方は何か変化はあったか。」


「朱雀と青龍の力が使えるようになったかと。今回は二人の巫女が来ましたから。

何度か試していますが以前から使えていたものも含めて問題ありません。」


巫女が現れるごとにわたしの力は増えていく。

主に使えるのは七星士の力で一通り試してみたが異常はなかった。
太一君は頷いてそうじゃろうといった。


「そんな力が使えたのだ?」


「巫女が来ないと使えませんけどね。元から話は聞いていましたし、術は使えていたのでかっては分かっています。

私は守るためにいますから。」


「巫女は数日の後に来るじゃろう。
それまで準備をしておけ。

今回は青龍と重なってしまったためにさらに厳しいものとなるが頼むぞ。」


そう言われて部屋をあとにした。

井宿はいつも通りのお面をして変わりはないようだった。

会うたびに強くなっていく気を感じる。


「…君はどんどん強くなるのだね。」


「そうですか?」


「だ!
だけど、無茶はしないでほしいのだ。」


彼はそう言って自分の部屋に行った。

普段は旅をしているけれどここで修行していた頃の名残でまだ部屋が残っているから。

私も自分の部屋に戻った。

そろそろやって来るであろう巫女に備えて準備をしながら。


巫女にやって来る災難は大体私にも回ってくる。

命の危機は勿論のこと、その他の病などその他諸々。
時間差などもあるけれど、巫女の身代わりとはそういうことだ。

井宿はこの事を知らない。

言うつもりもない。
多分、隠し通せるし問題はないと思うから。

役目を、ちゃんと全うしないと。
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