四神天地書

□第参章
1ページ/4ページ

あれから三ヶ月が経った。

私はと言うと宮殿で適当に過ごしているだけだった。

たまに柳宿と一緒に出掛けたり、陛下と巫女が戻ってきたときのことを話したりして過ごした。


鬼宿は元気がなくなってボーッとしていた。


朱雀でもやはりこうなるのか。

そうなるだろうと思っていたしどの巫女もそうだったので別に驚きはしないけれど厄介だ。

止めることも出来るだろうがもう止まらないだろうし。

柳宿の話によれば巫女の方はすでに自覚済みらしい。告白もしたと。
別に構わんが困る。


「あーあ、早く美朱帰ってこないかねぇ。」


「コレばかりはどうにもなりませんよ。
何せ、こちらと巫女様の世界では時間の流れ方が違うのですから。」


「え、そうなの?」


と、驚いたように返された。

この話は多喜ちゃんから聞いた。玄武の巫女の。
まぁ、例えそうであっても私は死んでいるし時間の流れが違っていても変わりない。


「ええ。

例えこの世界で何ヵ月と過ごそうと巫女様の世界ではたった数時間にしかならないそうです。

私も聞いた話でしかありませんが。」


「てことは美朱、まだ帰ったばかりなのかもしれないのね。

そりゃこんなに待つわけだわ。」


「大丈夫ですよ。
そろそろ戻ってこられると思います。」


青龍の巫女はこの世界に、倶東国にとどまっている。

そろそろ気づいているはずだ。

青龍の巫女が戻っていないことに。となると巫女は探しにこちらに戻ってくるだろう。

例え誰かに止められようと、危険をおかすことになろうと。


まぁ、あの巫女ならきっと大丈夫だろう。

問題なのは青龍の巫女。あの子は大丈夫だろうか。何か起きなければいいが。


「そう言えば前々から思ってたけどあんた、男のくせに小さいわね。

美朱と同じくらいじゃない?背丈。」


「背丈と強さは変わりませんから。
それに気にしているわけでもないんですよ。

……あ。」


「どうかしたの?」


「巫女様、お戻りになられましたよ。

行きましょう。」


そう言って巫女のところに向かった。

案の定、巫女はそこにいてこちらに向かって手を振っていた。


「柳宿に陽茉莉!
鬼宿は?どこにいるの?」


「鬼宿はいないわ。
金儲けして田舎に帰るんだって何日か前…。」


「…よぉし、
じゃああたし会いに行く!」


巫女はそう言い出した。

驚いたが、七星士探しも始めなければならないしそうした方がいいだろう。

賛成すると嬉しそうに巫女は笑い、陛下の元にまた報告に駆けていった。
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ