四神天地書
□第玖章
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『繰り返す…。
朱雀七星士が一・鬼宿と…。
四神の守護神である神谷陽茉莉を我が倶東国に献上せよ。』
「美朱、何なのよこの気配!!」
「…あそこにいますよ。」
そういうが早いか真っ直ぐに薬を塗ったクナイを投げた。
肩に見事に当たり、崩れ落ちた。
痺れ薬を塗っておいたから、吐いてくれるだろうか。でもこういうやつって大体後始末もきっちりしてるんだよな。
「…無駄でしたか。
こいつ、死んでますね。毒飲んで自害しました。」
「…え!?そんなことしてんの!?」
「まぁ、軍がすべての倶東国ですからそういう命令も出されるのでしょう。
情報漏洩を防ぐために。」
クナイを肩から抜きながらそう言った。血がついている。
嫌だな。
ああ、やっぱり、嫌悪を戻ってるんだよな。血がなんか嫌だ。ゾッとして、触りたくもない。
前はなんとも思ってなかったんだけどなぁ。
「鬼宿…行かないよね…?
陽茉莉も…どこにも行かないよね!」
「行きませんよ、巫女様。
そんなにご心配なさらなくとも大丈夫です。」
巫女は心配そうな顔をしてこちらを見ていた。私はいつもの調子で答え、そうすると安心したようだった。
本当のところはどうするか決めてないのだが。
「星宿様!
村が襲われたと言うのは?」
「昨日のことだが寿霜県西南の村三ヶ所が敵軍と思われる黒付く目の兵に侵入されたのだ。
幸いそれ以上の進軍はなかったと聞いたが…こう言うことか…。
鬼宿、陽茉莉、お前たちは気にせずともよい。いくら我が国の軍事力が敵国に劣ろうともそう易々と屈服はせぬ!」
陛下はそう言った。
確か、その方向には鬼宿の村があったはずだ。三ヶ所も……。
こう言う駆け引きの時は、事実が一番有効だ。だから、とは言い切れないが…恐らく行かなければやるだろう。
特にあの男はそう言うことを躊躇しないだろう。
でも、巫女を守らなければならないと言う役目もある。
寧ろそちらが本業なのだ。
そちらを蔑ろにしてはいけないだろう。でもまぁ、死んでも一度くらいならどうにかなる。
巫女が仮に死んでしまっても身代わりが発動すればいいだけの話。
やはり、行った方がいいのだろうなぁ。
「…もう怪しい気配はしないのだ!」
「何も心配しなくていい。
三人とも、今夜はゆっくり休め。」
そう言って陛下は戻られた。
私は準備をするために部屋に少し急いで戻った。倶東国に戻るための。
どちらがあっているか、何て分からない。けれど、行った方がいいだろう。情報も増えるし、それに巫女には七星士がついている。
そんなに守らなくともやっていけると自己判断した。
青龍側は私を殺せない。
万が一に備えて殺すことだけはできない。まぁ、私にするとすれば情報を引き出そうとするくらいだろう。
それか、巫女が何か考えたのだろうか。
後者の可能性は低いが、そうであってほしい。そうであってくれればどんなにいいか。
簡単に手紙を書いて、最低限の荷物をまとめた。