乃木坂
□アイスクリーム
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「飛鳥せんぱーい!」
「おーやまじゃん」
「今日暑いですね…!
学校帰りにアイス食べに行きません?」
「おっいいね
じゃあ早く終わった方が迎えに行くっていう形にしよっか」
「わかりました!
…授業サボったらダメですよ?」
「善処するよ」
じゃあまた後でね。そう言って私とは反対方向に歩いていく飛鳥さん。
…多分あれは次の授業サボる気だ。
少しいたずらしちゃお。
「飛鳥さんーーー授業にちゃんとでないと今日のアイス飛鳥さんの奢りですよ!笑」
冗談交じりに大声で言ってみた。
よっぽど奢りが嫌なのか大声で自分の名前を言われたのが気に食わなかったのか来た道を戻って私の方へと早歩きで向かってきたので反射的に走って逃げる。
「あっ待ちやがれ!」
「へへっ。そう言って待つ人なんていないですよーだ笑」
そこからは追いかけっこをした。
途中同じクラスの史緒里とすれ違って話しかけられた。
「美月何してるの…」
「…飛鳥さんと追いかけっこしてる笑」
「次の授業は…サボるんでしょ笑」
「多分!
…あっ飛鳥さんがそこまで迫ってきてる!」
「楽しんで〜」
今の流れで授業をサボることが確定した。
まぁたまにはいいよね。
人生で一度しかない"青春"を楽しまなきゃやってらんない!
そんなこんなで飛鳥さんがバテてかなりスピードが下がってほぼ歩いて来てるから私は一足先に屋上に行って待つことにした。
あと少しで授業開始のチャイムが鳴るはずだから先生に見つかる確率が高くなるけど飛鳥さんはしょっちゅう授業サボってるから大丈夫でしょ。そう思って私は一人で、飛鳥さんの好きなところを言って時間を潰すことにした。
「んーまず、何だかんだ優しいところでしょ?
あとは急にマウントとってくるところも好き〜あとは_______」
「えっ何一人でブツブツ言ってるの…」
「あっ飛鳥さん!
遅いですよ〜待ちくたびれましたよ!」
「疲れた。もう何もしたくない」
「私の飲みかけの水飲みます?笑」
なんて冗談で言ってみたり。
…いつもみたいに「何言ってんの笑」そう言うと思ってへらへらしてたのになんで今日に限ってあんなことを言うのか。
「ん、貰うわ。ありがと」
「えっ?」
「え?何?」
「…い、いやいつもみたいに断られると思ってたので」
「まぁ気まぐれ?」
なんですかそれ笑。
そう言って戸惑いを誤魔化す。いつもみたいにヘラヘラしてればバレないはず。
この飛鳥さんへの想いは決してバレてはいけない。そう思ってずっと隠し続けてきた。
「ねぇやま」
「なんですか?」
「今から学校抜け出してアイス食べに行こ」
「えっどうしたんですか急に笑」
「なんかそんな気分。
…ほら行くよ」
そう言った飛鳥さんは無理やり私を立たせた。
…まだ行くって返事してないのに。
でもこうやって飛鳥さんに振り回されるのも楽しいから退屈しないから好き。
だから今は______この想いは伝えずに飛鳥さんの隣にいよう。
「…飛鳥さん」
「んー?」
「…好きです」
「どうしたの笑」
「______アイスが」
「…なんだアイスね。
てっきり私のことかと思っちゃったよ。」
「へへへ笑
そうだ!アイス食べ比べしましょ」
「いいよ」
いつか飛鳥さんへの想いがアイスみたいに溶けださないように。
そんなことを思う7月上旬。