乃木坂

□可愛いあなた
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私の後ろの席のやまが好き。
けど気持ちを伝えられないまま数ヶ月が経って今でもただの”友達”という立ち位置のまま。

いつも授業を眠そうに受けているやまだけど、結局寝ちゃうところが好き。
私はいつでもノート貸せるようにつまらない授業を受けているけどまだ一回も”ノート貸して”って言われたことがなかったりする…。


…少しくらい私のことを頼ってほしかったりするけどそんな想いも届かずに終わりそう。

だから今日は勇気をだして放課後一緒に帰る約束をしてみようと思う。

ほんとは、やまと二人きりで映画とか見に行きたいけどさすがにハードルが高すぎるからもう少ししてからにしよう。


【今日の放課後一緒に帰らない?】

この文章を送信しようか結構悩んだ。
素っ気ないやつとか思われそうのと冷たいやつって思われるのが嫌で、顔文字とか使おうか悩んだけど私らしくなくて結構いつも通りでいくことにした。

送信ボタンを押すのにも少し時間をかけたけど無事メッセージを送信できたからいつも通りノートを取ろうとするとすぐ返信が来て少し焦る。

…授業中なのに携帯見るんだ。
相変わらず、やまは授業退屈そうに受けるね。

なんて会話を弾ませることができたらどれだけよかったか。


【久しぶりに飛鳥さんと帰れるの楽しみです!】

なんて嬉しいこと言ってくれるやまが好き。
授業中にもかかわらずニヤけそうになるのを必死に抑えて自我を保ちながら返信する。

【私も楽しみ。】

高まる気持ちを抑えた結果いつも通りになったけど、普通が一番なんだよ。そう自分に言い聞かせて授業に集中する。


いつもは退屈で眠い授業だけど今日は全くそんなことなかった。
寧ろもう一限あってもいいぐらいあっという間に時間が過ぎていって放課後になった。

「やま帰りの支度終わった?」

「ばっちりです!」

「じゃあ帰ろっか。」


…あっ今日欲しい本の発売日だ。
やまに寄り道していいか聞いてみようかな


「やま、今日欲しい本の発売日だから本屋に行ってもいい?」

「全然いいですよ!
…これでもう少し飛鳥さんといれますね笑。」


なんて嬉しいこと言ってくれて思わず笑ってしまった。

「あー!今飛鳥さん笑ったな笑。」

「ごめんごめん」


やまは私の中ではヒロイン。
当然ヒロインという存在だから中々私の方へは振り向いてくれないから少しづつ気持ちを伝えていこうかな…そう思ってるけどそれが難しい。



「そうだ飛鳥さん!
せっかく久しぶりに一緒に帰れたので写真撮りません?」

「んーまぁいいよ」

「やったー!」


なんか久しぶりに一緒に帰った記念に写真を撮った。
やまが、この写真インスタにあげてもいいですか!?なんて言ってきたから承諾したら喜んでくれてこっちまで嬉しくなった。


「飛鳥さん!インスタに写真あげました!!」

「わかったわかった笑。」


実は内心めっちゃ喜んでたりする。
密かにやまのインスタは見てたしいつか載りたいって思ってたから今日誘ってよかったと心の底から思った。


「…じゃあわたしこっちなので」

「うん。今日はありがとね」

「今度はどこかにお出かけしましょう!!」

「そうだね笑。
それじゃあ、ばいばい」


やまと別れたあと家まで走って帰りたい気分だけど冷静になってやめた。


歩きながらやまのインスタを見てるとストーリーに今日撮ったツーショットの写真が載ってて思わずニヤけそうになる。

記念にスクショを撮る。
この画像は大事に保存しないと。

…あと今日のお礼メッセージで送っとこう。


【今日は楽しかった。また明日ね。





……今度映画見に行こうね】


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