乃木坂
□愛さないと…
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学年でずば抜けて人気な彼女が校舎裏で______同じクラスメイトの首を絞めているのを見てしまった。
物音を立てずに何とかその場から立ち去ろうとしたその時、なにかに躓いて転んでしまった。
「痛っ」
「あれ山下さん?こんなところで何してるの?」
「あっいや。」
「……もしかして」
「用事があるので失礼します!」
ここにいたらヤバい。そう直感で思い適当に理由をつけてここから立ち去る。
とりあえずもう"あの人"には関わらない方が身のためかもしれない…そう決めた。
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「あー見られちゃったなぁ」
…決めた。次はあの子を好きになる。
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「山下さんおはよう!」
「えっ。く、久保さんおはよう…」
今まで話したことなんて指で数える程度しかないのにこんな急に話しかけてくるんだろう。
…正直怖い。私もあんな風に殺されたりしたらどうしようなんて頭の片隅でイメージするだけで震える。
「じゃ、じゃあ私職員室に用事あるから…」
「私もついていこうか?」
「一人で大丈夫だよ…」
「そっか。気をつけてね〜!」
思わず、トイレへと駆け込む。
心臓がバクバクで飛び出しそうなくらいに緊張したし久保さんのオーラで鳥肌が立った。
もう怖くて学校休みたいくらいに。
とりあえず、極力久保さんとは目を合わせない、話さないを心がけて学校生活を過ごそう。
そう決めたのに
「山下さん次の授業体育だから一緒に行こ!」
「山下さん今日お昼一緒に食べない?」
なんてずっと私の後を着いてくるじゃないけど、まるで監視してるみたいで正直気持ち悪い。
昨日メッセージで飛鳥さんにちょこっと相談してみたけど気にしすぎじゃない?って言われたからそうだと思ってたけど、違う気がしてきた。
なんだかんだで放課後になりSHRが終わったら担任の先生に職員室に来るようにって言われていろいろ雑用を手伝わされて開放されたのは一時間後だった。
「全く人使いが荒いんだからなぁ」
思わず教室に向かう最中にぽつりと愚痴を呟く。
さすがに時間が経ってるから久保さんは帰ってるだろうとそう思い込んでいた私が馬鹿だった。
「あっ山下さん遅かったね。」
「え?なんで久保さん帰ってないの?」
「それはね、山下さんのこと待ってたからだよ?」
思わず後退りをする。
とりあえず、ここから逃げないと。
そう思い後ろの教室のドアから逃げようとするとガシッと腕を掴まれそのまま壁へ押さえつけられた。
「ちょっと何するの!」
「…山下さんが逃げようとするのがいけないんだよ?」
「離してよ!」
「…昨日の"あれ"見たでしょ」
「……っ」
「あれ結構焦ったよ。
今まで誰一人と見られたことなかったのにまさか同じクラスの山下さんに見られるとは思わなかった」
「あれは何してたの」
「何って_______首絞めてただけだよ?」
「普通はそんなことしないから。久保さん狂ってるんじゃないの」
「酷いなぁ。
そんなこと言うなら飛鳥先輩だっけ?殺しちゃうよ」
「飛鳥さんは関係ないでしょ!」
「…まぁないけど。
取引だよ、私と付き合ってくれたら殺さないでいてあげる」
「………」
「ほら〜どうするの?」
「わかった。付き合ってあげる。
その代わり、飛鳥さんは巻き込まないでね」
「ふふっ。わかった」
あの時、興味本位でついていかなければこんなことにはならなかったかもしれない。
「これで、山下さんも私のモノ。」