夢小説
□世界
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Q.0
辺りが火の海になる夢を見た。
東京が、世界が消えていく。
あぁ、誰かこの崩壊する世界を救ってくれそう思いながらこの景色に目を背けた。
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はっ!っと漫画みたいに大袈裟になりながら目を覚ます。あの不思議な夢のせいで汗をかいてしまったようだ。まだ学校に行く数時間前に目を覚ましたのでシャワーを浴びることにする。
生ぬるいお湯を出し頭からバシャバシャと浴びていき汗を洗い流す。あーさっぱりしたとぶつぶつ独り言を言いながらタオルで全身を拭いていく。制服に着替えるのはまだ早いか…なんて思いつつ部屋着に着替えいつも通り朝ご飯の支度をする。ご機嫌に鼻歌を歌いながら料理してると”ピンポーン”とインターホンが鳴る。ドアを叩いて急かしてくるので適当に”はいはい今開けるから”と返事してドアを開ける。
「やっほー名無しさん元気にしてた?」
「やほ。元気にしてたって美月昨日も来たじゃん」
「あれー?そうだっけ」
そう言いとぼける。ほんの少しイラッとしたけどいつもの事だと思いイライラをおさめる。このフレンチトースト貰うねと言いお昼用に作った分を食べられた。
「おい勝手に食べるなし。」
「えーいいじゃん。またそう言うと思ってお弁当作ってきてあげたよ」
そう言うと誇らしげにドヤりながらお弁当を渡してきた。一応ありがとうと言ってアンタが食べなければ自分の分の弁当だけで済むのにと付け加えて言うと不満そうな顔をしてあーそうですね。なんて不貞腐れた。
そんなくだらないやり取りをしてたらいつの間にか学校に行く時間になっていた。急いで余りのフレンチトーストを口に押し込みリュックサックに教科書や必要なものを詰めていき後は着替えるだけ。制服に着替えようとしたらすごい視線を感じ、ねぇ部屋から出てってと促すと中々渋って出ていかないので無理やり家の外へと追い出す。
ドアを叩いて文句を言ってくるの無視して着替え専念する。
「ねぇー名無しさんはそんなに人前で着替えるの恥ずかしいの?」
「そういう訳じゃないけど、人に見られながら着替える人なんてどう考えてもいないでしょ」
正論をぶちかますと、うっまぁそうだけど。と大人しくなった。しばらく無言のまま歩いていると急に美月がおかしな事を言ってきて思わず耳を疑った。
「ねぇもし_________この世界が滅びるって言ったらどうする?」
そう真っ直ぐ私の目を見ながら言ってきた。
思わず唾を飲み込んでしまう。もしかして今日見た夢と関係があるのか…美月は何か知っているのか頭の中でそう必死に考える。何も言えず数秒経ち痺れを切らしたのか、まぁもしもの話だよ?そう付け加えるように話す。けど冷や汗と手の震えが止まらない。
「…っ。絶対そうならないように私達で阻止する」
美月の目を見てはっきりと言う。多分美月が考えてた返事とかなり違ったのか、ふふっ名無しさんらしいね。そう笑いながら言ってきた。私をからかって言っただけなのか、それとも____本当にいつかこの世界が滅びるのか__わからない。でももしそうなったらどうなるのか…。頭を必死に回転させて考えるけど答は何も分からない。
でもひとつ分かることは、”美月は何かを知っている”という事だけ。
桜がひらひらと落ちてくる。
少し先を歩いていた美月が突然立ち止まり私の方へ振り向く。そして口を開きこう言った。
「…世界を救ってみてくれよ名無しさん」