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□one-sided loved...
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オレは、侑士が跡部の事好きなのを知ってる。
…そして、侑士は跡部にその事を伝える気がないことも知ってる。
けど……
「なんで、言わないの?」
好きになったらまず相手に気持ちを伝えなきゃ始まらないんじゃないのか?
「ふふ、なんでやろ。…本気じゃないんかもなぁ」
…わからない。
侑士が考えてる事、サッパリわからない。
でもそれって、
「伝えて、フラれるのが怖い……とか?」
「……っ…」
オレの言葉に、侑士の眉間がピクリと微か動いた。
「フラれて、傷付くのがイヤだ。…そんなのを理由にして逃げんのかよ」
「岳、ちゃん…」
一瞬、面を食らったような顔をしたが、すぐにいつもの冷静な侑士に戻った。
「……」
「……そーかもな、」
「え……」
「…実際跡部には意中な子がおるみたいやし……オレなんか入る隙もないって、本人に言われてしまうのが怖いだけかもしれへん」
─ホンマに好きやから、伝えられへんねん。─
そういえば、前にそんなこと言ってた気がする。
やっぱりその時も、侑士の言ってる言葉の意味がわからなかった。
でも今なら少しわかる気がする。
…きっとオレも同じなんだ。
ずっと侑士が、跡部の事見てたのを知ってたから。
だから自分の気持ちを伝えて…、それで自分が傷付いてしまうのが怖かったから…ずっと言えなかったんだ。
「でもこれは、やっぱりがっくんの言う通り、自分が傷付かないように逃げてるだけやね…」
そうだ。
ずっと逃げていた。
「やっぱ、玉砕覚悟で伝えるべき…かな」
伝えるべき、だ。
「…侑士、オレ……」
「……?」
お前の事が、好き……─
「…オレ、は…いつでも、お前の味方だから…な。……何かあったら、頼りにしろよ☆」
「がくちゃん…!」
─ホンマに好きやから、伝えられへんねん。─
one-sided loved...
(オレは今ようやく、その言葉の意味がわかった気がする。
)
one-sided love=片思い