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□secret date
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例えば、今、目の前に宇宙人が現れたりツチノコが出て来たりしたら俺は驚くけどそれ以上の感情は湧かない。
灯りのついてる彼女の二階の部屋を見上げただ心の中で念じる。
それは、部活帰りの習慣みたいなものだったけど、決まって彼女は窓を開けて俺に手を振りメールをくれた。
『お疲れさま。気をつけて帰ってね』
そのメールが届くと俺は彼女に笑顔で手を振り、再び自転車に跨る。
部活で一緒にいれない彼女との貴重な時間。
この貴重な時間をくれたのも彼女からだった。
部活帰り、一瞬でも彼女を見れたらいいなとこの窓を見上げてたとき急に窓が開いて彼女が顔を覗かせた。
そして、ルーズリーフで折られた紙飛行機には“好きです”の四文字。
すぐ返事がしたかったけど、彼女はすぐに窓を閉めてしまったんだ。
だから、翌日の朝、俺が返事をしたんだよね。
あれから、1ヵ月。
彼女はなにも変わらず、俺がここに立つだけで窓を開ける。
これは、UFOや怪獣に会うよりスゴいことだと思う。
そして、俺が家に着く頃には必ず彼女からのメールが入っている。
『おやすみ。勇人』
なんで、あの日、君は俺の存在に気づいたのか聞きそびれたままだけど、それを知ってしまうともう心で念じただけじゃ窓が開かない気がして聞かずにいた。
だから、明日も明後日も秘密のデートをしようね。
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