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□コンビニゲット
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夜にふとアイスが食べたくなった私は、家から歩いて3分のコンビニへと向かった。

にゃーという鳴き声と共に私の目の前を横切ったのは真っ白な猫。

黒猫だったら縁起が悪いけど、白猫ならどうなんだろう?

そんなことを考えながらコンビニの中へと入った。

入り口のすぐ脇にある冷凍庫からアイスを物色していると本のコーナーに見慣れた人影。

それが、私の好きな水谷文貴なんだからさっきの白猫はやっぱり幸運の白猫なんだわ。

アイスを一旦、戻して私は熱心に立ち読みしてる水谷くんに近寄った。

さっきの白猫はやっぱり、ラッキーじゃない。

私は水谷くんが読んでる雑誌がエロ本なのに気づくとこの場をどうしたものか考えた。

答えなんか決まってる。

見なかったことにしよう。

私がクルリと方向転換する前に運悪く、水谷くんと視線が合う。

しばしの沈黙が2人から笑顔を奪った。

パンッと読んでた本を片付けると水谷くんが無言で私の腕を掴みコンビニから私を連れ出す。

無言の空気が重苦しい。

コンビニから出ると水谷くんは私に両手を合わせて頭を下げた。

「お願い!なんでも言うこと聞くから今の見なかったことにして!モモカンにバレたら殺される!」

なんでもってなんでもいいの?

「それなら、水谷くんが欲しい」

急な展開につい本音がポロリ。

慌てる私に水谷くんが顔を赤く染め上げて小さく呟いた。

「それ、俺の方が得かも」

またしてもしばしの沈黙。

2人して顔を赤く染めた私たちは当初の目的通り、コンビニの前でアイスを食べた。

水谷くん曰わく、口止め料とお付き合い記念の品らしい。

水谷くんが買ってくれたアイスを頬張りながら、やっぱり、さっきの猫は幸福を呼ぶ白猫様だったんだなと私は笑った。

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