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□Shitto
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「本当だ。浜田の言う通りだった」

浜田の言う通りってなんだ?

浜田に視線を向けると笑いを堪えた顔で理由を口にする。

「泉に好かれてるか自信ないって言うから一芝居打ってみたら効果バッチリだったね」

そう言って浜田が彼女にウィンクして俺の秘密をバラす。

「だから言ったろ。泉もずっと好きだったって」

俺はみんなに騙されたとか此処は教室だとかが一気に頭を駆け巡り、ボンッて音がするんじゃないかってほど真っ赤になった。

「孝介、疑ってごめんね」

後ろから俺の服を遠慮がちに引っ張りながら彼女が謝る。

俺はとにかく、この場から逃げ出したくて彼女の手首を掴むと一気に屋上まで駆け上がった。

俺が肩で呼吸するくらいだから彼女なんかその場にへたり込んでいる。

呼吸するのも苦しいだろうに彼女が一生懸命謝罪の言葉を口にした。

「本当、ごめんね」

息も切れ切れでそれだけを呟く彼女に俺はどさくさ紛れに初めてのキスをした。

今度は彼女が真っ赤になる番だ。

「コレでチャラにしてあげる」

俺がそう笑いながら言って彼女を抱き締めようとしたとき、頭上から聞き慣れた声が聞こえてきた。

屋上の出入り口がある一段高くなった所から顔を覗かせたのはやっぱり、水谷だった。

「ごめん。泉。それ以上するなら俺が今出てくから待って」

もう、恥ずかしくて言葉も出ない。

今日は厄日なのか?

でも、彼女とキス出来たからまあ、色々許す。

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