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□わたしの王子様
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さっきの水谷が嘘みたいにいつも通りの水谷。
ちょっと、ビクビクしながら私に両手を合わせてお願いを始めた。
「ごめん!今の見なかったことにしてくんない!?暴力沙汰なんかバレたら試合に出れなくなる!っつうか野球部みんなにシメられる!」
私はあまりな展開にキョトンとしたまま水谷に訊いていた。
「え?なら、どうして助けてくれたの?え!?っていうか、それなら誰か助け呼ぶとか他に方法あったんじゃない!?」
混乱する私に水谷が零した本音はさらに私を混乱させた。
「だって、好きな子があんな目に遭ってたら誰だって。あ」
そう言って慌てて口を両手で塞ぐ水谷。
私、全部、聞いた後だよ?
水谷がこの薄暗い中でもわかるくらいに顔を赤く染めていて多分、私も水谷と同じくらい赤く染まっている。
普段の水谷に戻っても私はもう、水谷の誰も知らない一面を知ってしまった。
多分、これは新しい恋の予感。
「ああ危ないから家まで送るよ」
そう言って私の少し先を歩く水谷に私はちょっとだけ、勇気を出してみた。
王子様は待ってるだけじゃ、自分のモノにならないもん!
「明日からも送ってくれるかな?」
「えっ!?それって」
そう言って振り返った水谷はさっきよりも赤い顔で、多分、私もこのくらい今は赤い顔。
待ってるだけじゃ、王子様は現れるだけだ。
その後、ゲットするには自分からも近づかなきゃね!
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