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□俺のスキな彼女
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彼女が言うには彼らは意味不明な単語の羅列の中にきちんとした文章が英語で隠されてるのではないかと真剣に熱弁していた。

多分、彼らはこんな大真面目に自分たちの曲を聴いてる人間がいるなんて夢にも思ってないんじゃないかな。

それで、彼女の解釈は間違っていると俺は思う。

でも、彼女があまりに真剣に彼らのことを話すから俺も段々そんな気がしてきて彼らは大人から見たらバカにされる格好でよくわからない歌を歌ってるけど、実はスゴい語学に精通してるめちゃめちゃ頭の良い人なんじゃないかって思い始めてしまった。

一回、そういう先入観をもって改めて曲を聴いてみると確かに彼女の言ってることが正しく思える。

気がつくと俺も彼女同様、彼らのファンになっていた。

もっとも、他の同じジャンルのグループには興味湧かなかったけど、それも彼女と同じだった。

彼らだからこそこの騒がしいジャンルの曲をクラッシックでも聴いてるかのように大真面目に色んなことを考える。

多分、彼らの望んでる音楽の聴き方ではないと思うけど。

「文貴!初回限定版のアルバムやっと買ったの!お昼休み、一緒に聴こうね!」

「うん!」

何はともあれ、彼らのおかげで彼女と付き合うきっかけが出来たのには間違いない。

あれから数ヶ月後。

同じ趣味のおかげで無事、俺の告白は実を結んだ。

彼女がちょっと世間とはズレてる気もするけど、今はそれすらも愛しい。

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