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□俺の憂うつ
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浜田に彼女が出来ようがどうしようが俺には関係ない。

ハズだった。

「でな、すっげえ、ウマいんだよ!これが!でも、俺の作るお菓子の方が美味しいって。泉、聞いてる?」

「聞いてるっつうか聞き飽きた」

彼女と離れる僅かな時間、ヤツは毎回、毎回ノロケてくる。

彼女が出来て嬉しいのはいいけど、何故それを俺に向けるかな。

ちなみに、今は体育の時間で俺たち男子はサッカーで女子は持久走。

俺の視線の先では、不運にも田島と同じチームの三橋が今回も顔面で田島からのパスを受けている。

阿部が見たら激怒しそうな光景だ。

今のなんかモロに顔面だぞ?

今まで散々、騒いでたヤツが急に静かになると気になるのが人情だと思う。

俺の隣でノロケまくってた浜田に視線をやるとヤツは彼女のランニング姿に見惚れていた。

「はあ」

俺がデカい溜め息を吐いたのも気付かないらしく、浜田の瞳は夢中で彼女を見続けてる。

まあ、ノロケられるよりはマシか。

俺は再び、溜め息を吐くと隣から漂ってくる季節外れの春の陽気に少なからずげんなりした。

俺もいつか好きな子が出来たら浜田みたいにノロケるんだろうか?

今の俺には想像もつかないけど、ここまで誰かを好きになれるっつうのは少し、羨ましい。

まあ、絶対、浜田には言わないけどな。

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