仮面の守護者

□第3章
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あの忌まわしい事件が起こってから数日後、父と、母と、妹の葬式が降り止まぬ雨の中、ささやかに営まれた。

葬儀には、父の会社の人・母の知人・妹の同級生など、たくさんの人が参列してくれて、皆早すぎる故人の死に涙してくれた。


家族は部屋の奥に並んでおかれた棺の中で綺麗に清められていて、俺には今にも起きあがりそうに見える。

(親父、母さん、春香。ごめん。
俺何もできなくて・・・。)
 


悲しいのに、泣きたいのに

涙が出なかった。

泣くことを忘れてしまったかの様に、涙の出し方が分からない。


『和彦君、大丈夫?』
葬儀を手伝ってくれている親戚の叔母さんが俺に話しかけて来た。

「はい。すみません、俺、何にも出来なくて・・・」

結局葬儀の準備は、ニュースを見て駆けつけてきた親戚が行ってくれたが、俺には葬儀の知識など何一つなくて、何も出来なかった。
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