短編小説

□君…不足。
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それでも、一緒に居れる時間は大切だった。

「朔、今日…泊まって良い?」

綺麗な横顔は、嬉しそうに言葉を連ねる。

「今日は朔と居たい…」

そう言って、指を絡めあう。

「…うん…」

先輩はズルイ。
先輩に告白されたのは、俺なのに。
今は…俺の方が先輩に恋してる。

俺の冷たい指が先輩の暖かい指が交差して。
顔だけが熱を持つ。









「お邪魔しまーす」

いつ来ても、朔の匂いで包まれた部屋。
綺麗に整頓され、教材やら学校の資料等が重なっている。
此処に来ると、朔が欲しくて堪らなくなる…。
前を歩く恋人を後ろから抱き締め。
その白いうなじに唇を落す。

「先ぱ…んっ///」

人一倍弱い、ソコ。

「ねぇ、名前で呼んで…朔」

―バサバサっ

ポストから回収してきた郵便物が床に音を立てて落ちる。

「っ…美、月…////」

紡がれる名前がトクベツに感じる。
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