短編いろいろU

□海に行こうか
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夏休み、本日の最高気温は35度。そんな暑さなんか微塵も感じないほどクーラーの効いた室内で、ただいま学生の大敵、宿題と奮闘中。
いつもギリギリになってしまう私は今年こそは!と、幼なじみのスクアーロを巻き込んで頑張っているのだ。

それにしても何故…何故スクアーロは授業なんてまともに出ていないのに、一応真面目に授業に出てノートもとっている私より勉強が出来るんだ。神様は不公平だ。



「もー…分かんない。疲れた。今日は終わる」

「ゔお゙ぉい。それじゃあまたギリギリになって宿題に追われるぜぇ」

「ううう……」



スクアーロの鋭い突っ込みに机にうつ伏せていた体をのろのろと起こし、またシャーペンを手にした。
シャーペンは手にしただけで集中力もやる気も剥がれ落ちてしまった私はスクアーロが書く文字をぼんやり眺めていた。



「…ねえねえねえ!海行こうよ海!せっかくの夏なんだからさ。思い出つくろ!」



2人分の教科書やノートを広げるだけでいっぱいいっぱいの小さな机をバシバシ叩きながら言えば、机が揺れたせいでスクアーロの書く文字もぶれて軽く睨まれた。
ここで怯んではダメだ!負けじと睨み返せばため息をついたスクアーロがシャーペンを置いてこっちを見てきた。なんだなんだ、そんなにじっと見られると照れる…!
てか、え、近い近い近い…!!
腕を捕まれたのと緊張したのとで動けずにいたらちゅ、という音と共に唇に柔らかい感触。ただいま私の思考は停止いたしました。




「…んなとこ行かなくても思い出ぐらいつくれるぜぇ」




ニッと笑みを見せるスクアーロの耳もどことなく赤くなっていた。






10.08.18 題;にやり

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