しかし

「おい、」

なんということだ

「あちゃー、これ奥まで染み込んでますね」

「あのな、阿散井」

もはや、俺は絶体絶命なのか

「ちょっ...動かないでください」

「おい、話聞け...って!!おい!!」

スルッ
「っおい!!!」

パシッ
「なんスか、まだ濡れてますよ」

不服そうに言う阿散井だが、正直勘弁してほしい
あろうことか、こいつは袴を下ろして直接拭こうとしていた
その手をなんとか止め、操を守ることはできたのだが、阿散井の手は未だに際どい所に置かれている

「俺はそんな趣味ないんだが、」
そう言ってできるだけ優しく手を退かすと、阿散井はやっと気づいたらしく今更ながら赤面した

「はぁ〜、とんだ災難だな」

ため息をつくと阿散井は全力で「俺もそんなつもりなくて...」と、ごちゃごちゃ否定している

「お茶、熱くてすんません」
叱られた犬のように落ち込んだ阿散井
それを見ると怒るに怒れず

「もう気にしなくていい、だから早く自分の隊に帰れ」

「いや、今日は非番なんス!!だから日番谷隊長のお手伝いを」

「なら私室に帰れよ。俺ならいつも一人だから大丈夫だ」

どうせ松本は居ても居なくても、仕事には影響ない

「いや!!だめです!だって乱菊さんが...」
そこまで言うと口を押さえる阿散井

「あぁ?松本が何だと?」
何故そこでここに居ない松本の話が出てくるのか理解しかねる
まさか、またあいつ悪戯を仕掛けてるんじゃ

「あっ、えっと..乱菊さんにはさっきのこと言わないでください!!」

「さっきのことって?」

「日番谷隊長のピ──(自主規制)を触ったことです!!」

「ばっ、言えるか!!」



上手く誤魔化されたが、敢えて聞くことは無粋だと思い、諦めた
それからはなかなか松本が帰って来ないため、阿散井と一緒に仕事をするはめになった


一時間後

「阿散井っ!船漕いでんじゃねえ」

「はっ!すんません!...墨が垂れてしまいました...」

「やり直しだ」


二時間後

「日番谷隊長、俺これ届けて来ますよ!」

「そうか、頼む」



ドタドタッ、バンッ
「書類が風に乗っていっちゃいました!!」

「もういいから、何もするな」


とにかく阿散井は松本よりも使えない奴で(松本はやるときはやる)、朽木の苦労が伺える




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