短編
□嫉妬深く
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「なんでお前があんな所にいたんでィ!!」
「・・・へ?何の事アル?」
惚けた声を出しているが、ハッキリ言って目が泳いで嘘がバレバレだ。
こいつ、しらばっくれるつもりですかィ!?
「なんでキャバクラなんかに居たんでさァ?神楽」
出来るだけ落ち着いて言ってるつもりだが、明らかに神楽は俺に怯えてる。
「お前はそんな、遊び人だったんですかィ?」
「・・・・・・」
「あの日はビックリしやした。お前はしゃくれて変装したつもりらしいが、バレバレでさァ。あと、あのタオルを巻いたキモい奴、あれ旦那ですよねィ?土方さん達は気付かなかったみたいだけど、ま、そこら辺は可哀相に思ったから黙っといたがねィ」
「・・・・・・」
「なぁ・・・なんで何も言わないんでさァ」
「・・・・・・ごめんアル」
俯いたままボソッと呟かれる。
「・・・違いまさァ」
「え・・・・・・?」
俺は、そんな謝罪の言葉を聞きたいんじゃない。
俺は、否定して欲しかった。
「違うネ」って、言って欲しかった。
俺の中で、何か黒い物が渦巻く。
そのまま神楽と居たら、それが爆発する気がした。
だから・・・。
「俺、今日はもう帰りまさァ。引き止めてすまなかったねィ」
俺は神楽に背を向ける。
トン・・・
一歩前に進もうとすると、背中にちょっとした振動が伝わる。
反射的に後ろを振り向くと、小刻みに震える神楽が背中にくっついていた。
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