短編

□最後に・・・皆へ
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私・・・死ぬのね。



肺が痛くて苦しい。



でも不思議と、辛くはない。



死ぬことが、恐くない。



横でそーちゃんが泣いてる。



泣かないで?



だって私、皆に沢山幸せを貰ったんだもの。



悲しくはない辛くはない



でも私、1つだけ後悔してるの。



あの時、私無理矢理でも貴方達について行けば良かったって。



『知らねぇよ』



そう言った彼は、もう1度私の元に来てくれた。



最後に1回だけ抱きしめて、好きって、言ってくれた。



嬉しかった。すごくすごく、嬉しかった。



どんなに突っぱねられても、どんなに拒絶されても、諦めずについて行けば良かった。



ダメ・・・目が霞む。



そーちゃんそーちゃんそーちゃん



ごめんなさい。



私が彼を好きになることで、貴方を傷つけてしまったわね。



ごめんなさい。



最後に、貴方に言わなくちゃね。



安心させなくちゃね。



私の自慢の弟だってこと、伝えなくちゃ。



「あなたは・・・私の・・・・・・自慢の・・・弟よ・・・」



だから、もう、不安になることはないのよ。



ダメ、もう、視界が暗い。



そろそろ・・・かな。



思い浮かぶのは、武州にいた頃の私達。



幼く笑うそーちゃん。



豪快に笑う近藤さん。



微かに笑う十四郎さん。



みんな、みんな、私にとって大好きな思い出。



ねぇ、貴方は、今泣いていますか?



泣いているなら、それを強さに変えて。



十四郎さん、皆、



ありがとう



ありがとう−・・・



終り

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