短編
□まるで人形の様な−・・・
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あいつと最後に会話をしたのは、温かくなり始めた初春の時だった。
「チャイナじゃないですかィ。どうしたんでさァ、暗い顔して」
「・・・お前も、いつか消えるんだヨナ」
「・・・は?」
総悟の奴、意味不明な顔をしてたっけ。
「大切な人って、どうしてこういなくなってくるんだろうナ・・・」
それはその時だけ考えた事ではなかった。
私と銀ちゃんと新八が頑張って戦っても、どうしても守れなかった命は、沢山ある。
その度に、苦しくなって、涙が溢れて、押し入れに引きこもる。
「・・・何の事か全っ然分かりやせんが、用はお前は淋しくなりたくないって言ってんだろ?」
「・・・・・・」
「もし、俺が死にそうになったら、そうだな、お前の名前、呼んでやらァ」
何時でも、お前の中で俺が生きられるように−・・・。
そう言われて、私は恥ずかしくてつい走って総悟から離れてしまった。
それが私とあいつの唯一最後の言葉の交じり。
もう一生話すことはない、会話−−・・・。
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