短編
□紫陽花の花言葉、それは「移り気な心」−・・・
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トントンと机にペンを打ち付ける音。
昼なのに光りが差し込まない暗い自室。
そしてさっきから付き纏って離れない背後の物音と気配。
こんなつまらない空間でも、幸せだと感じられる俺は相当イってしまっているのだろうか。いや絶対そうだ。
だって今は後ろにあいつがいるから−・・・。
「ねーサドー、つまんないヨー」
「そうですかィ」
「ふぅ・・・」
この1時間ずっとこんなやり取りの繰り返し。
背後の音からすると、多分チャイナは畳みに寝転がっているのだろう。
そんな事を推理しながら、俺は1人黙々と目の前に置かれている格闘の相手を睨み付ける。
「ねーサドー、そんな書類ほっぽって私と遊べコノヤロー」
「なんで命令形なんでさァ。SMプレイならよろこ」
「却下」
「チッなんでィ」と悪態を付き、また意識を机の上に戻す。
今の俺の悩みは、この字がビッシリ埋められている白くペラペラの、紙。
−くそ。なんでこんな時に仕事なんか・・・。
俺はちらりと、俺の部屋をうろうろするチャイナを盗み見る。
なんでチャイナが此処にいるのか。
普通女が男の部屋にいるという事は恋人同士とか、甘い関係にあるのだと思うが、俺とチャイナは生憎そういう関係ではない(自分で言って悲しくなってきた・・・)
では何故チャイナは俺の部屋にいるのかというと、答えは簡単。外が雨だからだ。
今梅雨の真っ只中であるこの時期、当たり前だけど雨がここ何日間か降り続いている。
という事は、遊び盛りのチャイナには外で遊べなくて辛いわけで。
言ってみれば、多分気まぐれ。
仕方なく俺の部屋に勝手に遊びに来た。そういう感じだ。
だけど不運な事に俺は溜まりに溜まった書類の山を今日中に片付けなければいけなくて。(近藤さんに注意されたから)(土方さんにも注意されたけどバズーカで飛ばした)
チャイナの相手を出来ずにいる。
−・・・後で土方さんの首をロープに吊しててるてる坊主にしようかねィ。
本気で、考えた。
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